※地湧庵農園は2024年3月をもってお店を閉店されました。
センター南駅から徒歩5分の住宅街の中に、毎年10月〜6月の間「安納芋」ののぼり旗が立つお宅があります。
肌寒さも増し、焼き芋が恋しくなる10月中旬に、現地を訪ねました。
目次
種子島のアンテナショップ 地湧庵(じゆうあん)農園
訪れたのは、都筑区茅ケ崎東の正覚寺にほど近い、閑静な住宅街の一軒家のお宅。駐車スペースが焼き芋の売り場になっています。
こちらのお店「地湧庵(じゆうあん)農園」を営むのは、安納芋の名産地・鹿児島県種子島出身である河東大詔(かわひがし ひろのり)さん。
河東さんは今から51年前の1970年、横浜市立小学校の教員として種子島から横浜市に越してこられました。
教員を退職後は「のんびりと晴耕雨読の暮らしを愉しもう」と思っていたそのころ、東京のデパートで開催された鹿児島物産展で種子島安納芋が爆発的に人気となり、空前の安納芋ブームが到来。しかし、種子島の実家ではまだ細々としか栽培されておらず「横浜から力になれば」と通販などを手伝うようになりました。
そして自宅駐車場に種子島のアンテナショップを開き、種子島安納芋の焼き芋の販売を始めたのは今から12年前のことです。
秋の時期は安納芋の焼き芋、冬はしょうが、春はスナップエンドウ、夏はパッションフルーツなどがお店に並びます。安納芋やその他の農産物は、種子島に住んでいる河東さんの従姉妹たちが栽培しています。
手作りの温かみ溢れるアットホームな(屋外だけど)お店の前で、焼き芋の美味しさの秘訣を教えてくださいましたよ!
美味しさの秘訣その1 種子島の風土
「種子島の事をもっと知ってもらいたい」という想いから、お店には安納芋の歴史を紹介した新聞の切り抜きや、風光明媚な風景、生産者の画像などが飾られています。
写真にもあるように海に囲まれ一年中潮風が当たる種子島の土地は、ミネラルが豊富に含まれるそうです。この土壌と年間平均気温19℃という温暖な気候により、味わい深い安納芋が実ります。
美味しさの秘訣その2 種子島安納芋のブランド力
江戸時代より種子島の風土に根付いていた安納芋ですが、十数年前の安納芋ブーム以降は、日本のそこかしこで栽培されるようになりました。
そこで「種子島安納芋の品質を誇れるように」と農協や行政が中心となって「安納いもブランド協議会」を立ち上げ、技術指導が入るようになりました。
さらに品質基準も設定し、糖度15%以上のものを提供できるよう、農家の方も日々努力されているそうです。糖度15%という数値はメロンと同じくらいの甘さというから驚きです。さらに焼き芋にすると糖度は40%にもなるのだそう!
美味しさの秘密その3 つぼ焼き釜でじっくり火を通す
この高さ1m程の大きなつぼ焼き釜でじっくり1時間以上、練炭で火を通します。
この小窓を開閉して火加減の調整を行います。安納芋のサイズが大小さまざまなので加減が難しいそうですが、ここは10年以上培った熟練の技で焼き上げます。
時間をかけてつぼ焼きにした安納芋は水分を湛え、ねっとりと甘い極上の焼き芋になります。
美味しさの秘訣その4 河東さんの温かいお人柄
以上が河東さんにお伺いした美味しさの秘訣で、ここからは筆者の主観です。
この日私が滞在している間、お散歩中のご夫婦や中年の親子、小さな子ども連れなどなど、わずか小1時間で沢山のお客さんが訪れました!「家族は何人?」「小さいお芋の方が甘いよ」など常連さん以外のお客さんにもフレンドリーに言葉をかけてくださいます。「こんなにたくさん良いんですか?!」なんて声も聞こえてきました。
楽しそうに接客する河東さんを拝見していると、こちらまでホクホクのお芋のような温かい気持ちになります。
地域の焼き芋屋さんの魅力って、こんな所だよね〜。と、しみじみ思わずにはいられません。
地域の人から待ち望まれる存在に
お店を開いて12年。毎年10月、地域の風物詩のように安納芋ののぼりが立つと、近所の人たちが駆け付けるようになりました。近年では、近くの幼稚園や介護施設に焼き芋を納品する事も恒例になってきたそうです。いつしか地湧庵農園の焼き芋は、地域の人たちに待ち望まれる存在になっていきました。
現在、こちらのご自宅に親子三世代で暮らしているという河東さん。(お孫さんも可愛い盛りだそう!)
地域のために、故郷のために今日も安納芋を焼きます。家族に囲まれて、まさに晴耕雨読の暮らしを謳歌していらっしゃる河東さんの瞳はキラキラと輝いていました。
つぼ焼き芋の販売情報
販売期間 10月1日~6月初旬(予定)
販売価格 100g 150円
地湧庵(じゆうあん)農園 横浜営業所〈種子島特産品アンテナショップ〉
住所 都筑区茅ケ崎東3丁目19-10
電話番号 090-7018-0862
営業時間 11:00~18:30
営業日 金・土・日曜日