キッズパークで子どもを遊ばせながら、ママたちが乳がん検診を無料で受けられるサービスをご存知ですか?
子育て世代のママたちのがん検診の受診率を向上し、早期発見・早期治療につなげ、家族の笑顔と未来を守ることを目的とした「ママのがん検診応援プロジェクト」では、2021年6月から、横浜市内の屋内型キッズパーク・ハピピランドを会場に「乳がんエコー検診無料体験会」を実施しています。
この1年足らずの間に開催回数は14回を数え、累計で約400人ものママたちが乳がんエコー検診を体験することができました。
2022年5月26日(木)にハピピランド・ルララこうほく店で開催された、14回目の乳がんエコー検診無料体験会の様子をお伝えします。
このイベントを運営する一般社団法人シュフレ協会の代表理事・武次直美さんの案内で、会場を見学させていただきました。
目次
乳がんエコー検診無料体験会を始めたきっかけは
「子育て中のママは、どうしても自分のことを後回しにしてしまいがちです。自分の用事に子供を付き合わせることに罪悪感があったり、忙しい生活の中で自分の体のことにまで気を回している余裕がなくて、体調に異変を感じてもなかなか病院へ行けなかったり、検診を受ける機会を作れずにいるママがとても多いです。」と、武次さん。
そんな中、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響で病院から足が遠のき、がん検診の受診率がさらに下がっているという話を聞いた武次さんは、「このままでは、何年か後には発見が遅れたがんの患者がたくさん出てきてしまうかもしれない」と危機感を抱き、乳がん検診無料体験会の実施を思いつきました。
このイベントのポイントは、子どもの遊び場の中に会場がある、というところ。
自分の用事に子どもを付き合わせるのではなく、子どもを遊ばせるついでに自分の検診が受けられるということで、ママが検診に行くハードルを下げることができました。
協賛企業からの助成と医療機関や各種団体の後援によって、参加者は無料でプログラムを体験することができます。
中でも、医師の手配や横浜市への申請など、医療の専門的な部分については一般社団法人乳がん予防医学推進協会の協力によるところが大きく、その支えのもとでイベントが成り立っています。
この取組り組みが始まったころは、無料だということに「何か裏があるかも」と不安を感じ、参加することを躊躇していた方も多かったといいますが、地域の子育て支援センターで利用者に乳がん検診の大切さなどを伝えてくれていることや、このイベントを実際に体験した方が「行ってよかった」と周囲に広めてくれた口コミの効果もあって、今では参加希望者ですぐに予約がいっぱいになるようになりました。
どんなところでやってるの?
会場は屋内型キッズパーク・ハピピランドの施設内に設けられています。
このイベントに参加するママとそのお子さんは、ハピピランドに無料で入場でき、1日フリーパスで遊ぶことができます。
お子さんは、きょうだいが何人いても全員無料になります。
ママがイベントに参加している間、離れて過ごせるお子さんはパーク内で遊んで待っていることができ、その間はハピピランドのスタッフが見守ってくれます。ママと離れたくないお子さんは、一緒にイベント会場の中に入ることもできます。
イベントの予約時間より早く来て遊んでも、もちろんOK。イベント終了後も、閉店まで好きなだけ遊ぶことができます。
(お子さんの見守りはイベント中のみ。それ以外の時間は親子で一緒に過ごします)
乳がんエコー検診無料体験会の流れ
1.超音波(エコー)検査
2.女医による問診・モデルキットを用いた自己触診指導
3.自己触診を取り入れたストレッチの指導
という流れで行います。
時間指定の完全予約制なので、待ち時間はほとんどありません。
まずは個室で超音波(エコー)検査
女性の超音波検査技師が丁寧に検査してくれます。
こちらで使われているのは持ち運びに適した小型の機械ですが、病院などにある超音波診断装置と同等の検査ができるものです。
検診の結果は、約2週間後に参加者本人の元へ届きます。
エコー検査のあとは、医師が待つお部屋へ
医師による乳がんセルフチェック指導を受けます。
乳房のモデルキットを使って体験しながら自己触診のやり方を解説していただけるのでとてもわかりやすいです。
また、乳がんのことや検診のことなど、気になることを質問することもできます。(診察ではありません)
自己触診を取り入れたストレッチの指導
リンパマッサージとストレッチで体をほぐしながら、自然に乳がん自己触診もできるという「リンパトーンストレッチ®」の指導を受けます。
肩や胸回りの筋肉が自然に伸ばせる動きもあって、リラックスできそうです。
お礼のメッセージやイベントの感想が寄せられています
最後に、紙や筆記用具が設置されているコーナーもあります。無料体験へのお礼のメッセージや感想が寄せられていました。
参加者の方にお話を聞きました
1歳9ヶ月になるお子さんを連れて参加されていた方にお話を聞くことができました。
——今回のイベントに参加しようと思われたきっかけは?
「今も授乳をしていて、これまで乳腺炎になって助産院でマッサージを受けたりしていたんですが、なんとなくしこりがあるような気がして心配で。そんなとき、センター北のポポラ(子育て支援センター)に置いてあったチラシでこのイベントのことを知って、ちょうどいい機会だと思いました」
——乳がんエコー検診を受けられたのは初めてですか?
「以前働いていた頃は、会社の健康診断で乳がん検診も受けていましたが、子どもが生まれてからは一度も受けていません。子どもを連れてどこかへ出かけるのはなんとなく肩身が狭いし、そのためにわざわざ預けるのも気が引けて……」
こちらの方は、近くにこんな遊び場(ハピピランド)があることを今回の無料体験会で初めて知ったとのこと。子どもとお出かけできる場所が増えて良かったです!と笑顔でお話ししてくださいました。
無料体験会を続けて1年。これからの目標は?
現在は協賛企業からの助成によって開催されている無料体験会ですが、これからは個人からのクラウドファンディングも募っていきたいとのこと。
その理由は、みんなが子育て中のママたちのことを応援している・見守っている、ということを対象であるママたち自身にもっと伝えたいからだと言います。
武次さんは、子育て中の方たちと接する中で、小さなお子さんを連れて行動することについて日頃から肩身の狭い思いをして過ごしている方が多いという実感を持っていました。だけど、世の中には「子育て中のママを応援したい」「気にせずどんどん出かけて欲しい」と思っている人もたくさんいるはずです。
個人からのクラウドファンディングで乳がん検診無料体験会が実施できれば、子育て中のママたちを応援するたくさんの個人の存在がよりはっきりと伝わって、子育て中のママたちが日頃感じている肩身の狭さも軽減されるのではないか。
そうすれば、ママたちが自分の検診のために出かけることへの抵抗もなくなっていくのではないか、武次さんはそう考えています。
乳がん検診は一度受けたらおしまいではなく、定期的に受け続ける必要があります。
この乳がんエコー検診無料体験の取り組みが目指しているのは、この1回の検診を受けに来てもらうことだけでなく、今後ママたち自身がみずから医療機関へ行って乳がん検診を受けるようになってもらうことです。
今後は、医療機関と連携して、病院で子連れの方限定・予約制で乳がん検診が受けられる「ファミリーデー」などのイベントを開催するなど、様々な形で支援を充実させ、もっとママたちが検診に行きやすい環境を整えていきたいという目標を語ってくれました。
ママたちがもっと気兼ねなく、検診を受けに行ける社会を実現するために。武次さんはこれからもいろんなアイデアで挑戦し続けます。
無料体験に参加してみたい!どうすればいい?
直近では、2022年6月23日(木)に、ハピピランド 横浜アソビル店(横浜駅東口)での15回目のイベント開催が決まっていますが、既に満席です。
キャンセル待ちや今後の開催の情報は公式サイトで随時更新されているのでチェックしてみてください。
このイベントに参加できるのは、未就学児の子を持つ女性で、定期的に乳がん検診を受けにくい状況である人です。
また、乳がん・乳腺症などの治療中であったり経過観察等の指摘を受けている方は参加できませんのでご注意ください。
追記:クラウドファンディングの受付が始まりました(2022/6/21~)
武次さんが目標として語っていたクラウドファンディングについて、準備が整い、受付を開始しましたとのお知らせをいただきました。
無料の乳がんエコー検診を応援したいという方は下記リンクよりチェックしてみてくださいね。
関連情報
一般社団法人シュフレ協会 公式サイト / 公式Instagram
ハピピランド ルララこうほく店 公式サイトはこちら