母娘で地元野菜の美味しさを伝えたい!人気の野菜直売所「志村農園」

荏田南の住宅街にある、大きな農業用ハウスとレモン色の建物を目にしたことはありますか? 毎週金曜日に営業している「志村農園」の直売所には開店前から行列ができます。
採れたて野菜だけでなく、パウンドケーキや柚子胡椒の加工品も大人気。農園を営む志村さん親子にお話を聞き、人気の理由を探ってみました。

地元野菜の提供は40年以上前から!

青葉区にほど近い、荏田南の住宅街にある「志村農園」は、毎週金曜日の14時~17時のみ営業している直売所です。

販売前からお客さんが集まるアットホームな直売所

「サラリーマンの嫁はごはんを作って家のことだけやるのが当たり前だと思っていました」と笑うのは園主の志村さつきさん。「子どもの頃は、おこづかい欲しさにおじいちゃんの畑を手伝っていました」と、娘のえりなさんの笑顔が並びます。

園主のさつきさん(左)と社会人ソフトボールの選手を経て5年前に家業を継いだえりなさん(右)

志村農園は元々さつきさんの義父母が営んでいた農園で、以前は川崎市の北部市場に卸していました。港北ニュータウンもなかった40年以上前から「店が少ない住宅地に食材を届けたい」との思いで野菜のトラック販売もしていた超地元密着型農園です。

 17年前に義父が亡くなったときに、さつきさんがハウスの中で真っ赤になっているトマトとイチゴを見て、せっかく作ったものを出荷させなければ!と必死の思いで作業し、思いがけず家業を継ぐことになったのが始まりといいます。
トラック販売時代のお客さんの子や孫の代の方々も訪れる、地元には欠かせない直売所です。

新鮮野菜も加工品も人気の直売所

志村農園はハウス栽培で、年間を通して少数多品目の野菜が安定して並びます。

4月から旬の筍、出始めたトマトやキュウリが並びます。夏はパウンドケーキの具材としても人気のいちじく、秋には秋なす、冬場は大根やカリフラワー、ブロッコリーなど、いつでも旬!の、新鮮野菜が店頭に並びます。

小松菜、葉玉ねぎ、リーフレタス、ルッコラなど150円のものが多数
冬場の人気は柚子胡椒!こちらを目当てに遠方から足を運ぶ人もいます

さつきさんが、3年間も試行錯誤し、塩の分量やミキサーのかけ方にもこだわった自信作です。本場九州の柚子胡椒は、唐辛子を塩漬けにしますが「うちは柚子のフレッシュな果汁につけているので、風味がたっぷりでじゃりじゃりしない舌触りが良いと言ってもらえます」。

ぶわっと柚子の香りが漂い、ピリっとする辛味もクセになります

「大おじいちゃん(曾祖父)が、50年前に世田谷のぼろ市で買って来た柚子の木の実が今も活躍しているんです(笑)。 この柚子の木にしか出せない味で、ほかの柚子を使ってもこんな豊かな風味にならないんです」という、家族にとっても特別な味わいの柚子胡椒です。

自宅の一室を改装し、専用の部屋で作っている加工品の中でも、ファンが多いのが小松菜のパウンドケーキ。ケーキはJAたまプラーザでも販売しています。

成長しすぎた小松菜などのC級品をどうにかできないかと、「もったいない精神」から生まれたケーキです。このケーキをきっかけに小松菜が食べられるようになったお子さんもいらっしゃるそうで、家族連れにも好評です。

左から梅酒、いちじく、小松菜ケーキなどカット200円、1本750円でおやつにぴったり

筆者の娘もこちらの小松菜ケーキが大好物。しっかりと小松菜の風味を感じるのに、青臭さや苦味がなくやさしい甘みで大人も子どもも手が止まりません。

低農薬で安定供給できるハウス野菜

直売所に並ぶのはハウス栽培の野菜たちです。
害虫リスクが低いハウス野菜は農薬散布が少なくすみ、農薬を使わずに育てられる種類もあるので無農薬野菜として販売するものもあります。
また、寒さなど気候に左右されにくく、販売に合わせて収穫日を調整できるのも新鮮野菜を提供できる利点のひとつです。

栽培は小分けのパッチワーク畑にして、少しずついつでも収穫できるようにしています

「野菜の美味しさは鮮度が命。ハウスで採って隣の直売所で売れるので新鮮です。流通までに何日もかかると美味しさが落ちてしまうので、とくにお正月野菜が長持ちすると喜ばれています」と畑を案内してくれました。

少しずつ分けて栽培し、葉物はほぼ1年中提供しています

地産地消で地元のお客さんを元気に

直売所に足を運ぶとお客さんと談笑する姿が見られます。
さつきさんのご主人は「わたしは応援係」と笑いますが、元高校教師で取材日は教え子がお客さんとして訪れていました。
志村さんファミリーの明るいお人柄も相まって、お客さんが楽しそうに野菜を選んでいるのが印象的です。

 以前は、看板ヤギのコナン君に会うのを楽しみに来店していたお客さんもいましたが、残念ながら今年(2025年)の10月に旅立ちました。店内にコナン君を忍ぶメッセージなどが飾られていて愛されていたことがよくわかります。直売所はお客さんとの絆が感じられる温かい空間です。

「野菜が苦手だった子が、うちの野菜を食べて好きになったとお客さんから言ってもらえ、うれしいですね」とさつきさんの笑顔がはじけます。

「地元の人たちに地元で採れた野菜を食べてもらって、元気になってもらいたい。地元を好きになるきっかけになってほしい」と志村さん親子は声をそろえます。

えりなさんが発信している志村農園のインスタグラムでは、農園や直売所の様子が紹介されています。チェックして地元の新鮮野菜を味わってみてはいかがでしょうか。

直売所情報

志村農園

場所:神奈川県横浜市都筑区荏田南4-34-8  
(提携駐車場あり)

 販売日:毎週金曜日 14:00~17:00(売り切れ次第終了する場合あり)

志村農園Instagram:

https://www.instagram.com/accounts/login/?next=%2Fshimura_farm%2F&source=omni_redirect

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