2024年5月、都筑区の歴史に新たな幕が上がりました。ドイツの自動車部品システムサプライヤー、ボッシュ株式会社が渋谷から本社をセンター北に移し、従業員約2,000人が集う新社屋が稼働開始したのです。
地上7階・地下2階建ての巨大な社屋が着々と出来上がる数年を間近で見守ってきた地域住民としては「いよいよか!」という気持ちでした。


その社屋1階で開業した「café 1886 at Bosch(カフェ イチハチハチロク アット ボッシュ)」は、一般の人でも誰でも利用できるカフェ。2015年、当時本社があった渋谷で開業し、移転に伴い新しく都筑区にオープンしました。


開放感ある大きなガラス張りの窓、間接照明の優しい光、美術館のような調度品…ジャズが流れる都会的な空間でプレッツェルを頬張ると、カフェのことをもっと知りたくなりました。
目次
カフェ発起人・下山田さんにインタビュー
「地域の方に興味を持っていただいて嬉しいです!」と、今回の取材に終始気さくに対応くださったのは、発起人であるフュージョン・プロジェクト推進室シニア・ゼネラル・マネージャーの下山田淳さん。


カフェ誕生のきっかけや都筑への思い入れについてお話しを伺いました。さらに、下山田さんおすすめのフードメニューもご紹介します。
カフェ誕生のきっかけは「ひらめき」
ー(ロコっち)下山田さんは「café 1886 at Bosch」の発起人と伺っています。まずメーカーであるボッシュがカフェを手掛けるという発想に至った経緯を教えていただけますか?
(下山田さん)当時コーポレートコミュニケーション部の部長だった私は、社長から「ボッシュのブランドを日本でもっと有名にしてくれないか」と言われていました。「今ある予算の中で」という条件付きで。
そんなとき、初めてのドイツ出張でボッシュ本社にある博物館に行きました。いわゆる一般公開されていないボッシュの歴史的な製品を収蔵している歴史資料館みたいなものです。
ドイツ人は几帳面で、そこには100年以上前に造られた車のヘッドライトやスパークプラグなど、様々な製品が状態良く収蔵されていて驚きました。
その後、出張の時差もあって疲れている中、コーヒーを飲みに本社のカフェに寄ったとき、これだ!と思ったんです。
「ボッシュの軌跡の象徴である歴史的な製品の数々を展示したカフェを開いてみたい」
もうすでに頭の中でイメージが出来ていて、帰国後企画書を起こし、当時の社長に提案しました。社長は本当に寛容な人で「クレイジーね。デモヤッテミタラ?」と言ってもらえて。


店内のカウンター上にはボッシュの歴史的な製品が展示されています。1900年代の車のクラクションや、クラシック映画でしか見たことないようなヘッドライトなど。全て下山田さんがドイツの本社歴史資料館からセレクトし、ドイツ本社から借りているものです。


なぜ「歴史」をテーマに扱うのか
(下山田さん)なぜ「歴史」にこだわると思いますか? ひとりひとりその人にしか語れない歴史があると思いますが、ボッシュも同じです。
情報が溢れた世の中で、どうやったらボッシュに親しみを感じてもらえるかというと、自分たちが歩んできた歴史を語ることだと考えました。
ボッシュの故郷・シュトゥットガルトは、ドイツを代表する自動車産業の街として知られています。ポルシェ、メルセデス・ベンツ…名だたる自動車メーカーの拠点がここにあります。ボッシュは、それらの自動車産業を支えるグローバルサプライヤー。ボッシュの歴史は競合他社には真似できません。
もうひとつ、日本人とドイツ人って、モノづくりにおいて共通する価値観があるんです。日本人の職人気質と同じように、ドイツにも正確さ・精密さにこだわったエンジニアリングに長けた文化があり、それを実体で見せたかったというのも理由にあります。


住民のニーズに応える「みんなにやさしいカフェ」と「メニューづくり」
(下山田さん)ひしひしと感じるのは、カフェって土地柄が表れていると思います。渋谷では、パソコンを持ち込む方や若い女性の利用者が非常に多かったですが、都筑においてはファミリーで利用されるお客様も多く見られます。
ー(ロコっち)今16時台ですが、ベビーカーで来店されている主婦層やシニアの方もけっこういらっしゃいますね。
(下山田さん)新しいカフェの内装は、段差をなくしてベビーカーでも入店しやすい優しい造りになっています。


ー(ロコっち)渋谷とお客様の層が異なることを見越して、変更したところもあるのでしょうか?
(下山田さん)おっしゃるとおり、地域柄コンセプトが少し違います。今回の都筑においては、ドイツにこだわりすぎずファミリー層向けのメニューを幅広く取り揃えました。
ー(ロコっち)確かに、プレッツェルやドイツビールもあるけど、パスタやブレッドなどのメニューも充実していますね。






パスタやブレッド、スイーツなど一般的なカフェメニューも取り入れて、期待通りのメニューが揃っている安心感を重要視しました。とはいえ、やっぱりボッシュらしいドイツのカルチャーを感じるメニューも提供したい。カイザーシュマーレン、プレッツェル、カリーブルストなど日本人になじみがあるようなフードも、ぜひ召し上がってみてください。
おすすめメニューのご紹介


南ドイツの気候と風土が育んだポピュラーなパン「プレッツェル」は、本場ドイツから仕入れています。頬張ると香ばしい生地の中からバターがじゅんわり…。また、ドリンクのサイズはSサイズ~。多様なニーズに合わせたサイズ展開は移転後からの取り組みです。


たっぷりのポメス(フライドポテト)、グリルソーセージにカレー風味のトマトソースをあしらった「カリーブルスト」は、ベルリンのインビスと呼ばれる屋台ではおなじみのメニュー。手軽に食べられるスナック感覚は「日本で言うとお好み焼きや立ち食い蕎麦のような存在」だそう。移民が増えたことで多文化主義になったベルリンのカルチャーを感じるB級グルメ。


ドイツビールも充実。ぜひドイツの郷土料理と共に味わってほしい。


ドイツにこだわりすぎないメニュー設定もコンセプトのひとつ。見た目も可愛らしく写真映えする「苺のシルキープリン」が人気。
注目! ボッシュのモノづくりイズムがここにも
提供待ちの際に渡される番号札に変わるアイテムも一風変わっています。


実はこちらのアイテム、グループ会社ボッシュ レックスロス製のアルミフレームです。部品のメーカーボッシュらしさが分かる人には分かる演出。
都筑がますます盛り上がる予感
2025年3月に開館したの都筑区民文化センター「ボッシュ ホール」とカフェの間には、全天候型広場があります。ボッシュ ホール側には大型モニターが付いており、横浜市都筑区、ボッシュ ホール、ボッシュのPR動画が流れています。
ー(ロコっち)こちらの広場も今後、活用していかれるのでしょうか?
(下山田さん)ここは横浜市との共同空間になっています。ボッシュ ホールと弊社本社、そして広場を含む敷地一体を「Bosch Forum Tsuzuki」と名付け、今後はボッシュ ホールの指定管理者と連携しながら賑わい創出に貢献していく予定です。その検証として2025年12月に「日本 カー・オブ・ザ・イヤー 2024-2025 最終選考会」が行われました。
日本の車業界の一大イベントがここで開催できたのは、我々にとって光栄なことですね。これを皮切りにイベントで賑わうスポットになって、センター北と南をつなぐこのエリアを盛り上げていければと思っています。


地元の新たな名所に
横浜市の公募から事業開発者としてこちらを拠点にした経緯がある以上、地域活性化につなげるというミッションが前提にあるとのこと。しかしながら住民としてはもっと単純に、この圧倒的なイベントスペースとドイツ料理を目の当たりにして、センター北に吹いた新しい風にわくわくしました。
区外の友人や遠方の両親が遊びに来ることがあれば、連れて行きたいスポット。「ここはね、ボッシュっていうドイツのメーカーの歴史が展示されたカフェなんだよ!」と自慢したくなっちゃいます。


店舗情報
café 1886 at Bosch
住所:横浜市都筑区中川中央1-9-32 ボッシュ株式会社 本社1F
営業時間:平日 8:00~20:00 /土日祝 8:00~19:00
公式Instagram:cafe_1886_at_bosch_yokohama
公式サイト:https://www.bosch-cafe.jp/