センター北でいちご狩り!世界初高架下のいちごハウス「ひげぱんいちご」の挑戦。

  • 投稿日2023.4.21
  • 更新日2023.10.2

横浜センター北でおなじみのパン屋さん「北のぱん焼小屋」こと通称「ひげぱん」。
人気No.1のカレーパンをはじめ、惣菜パン、ハード系のパン、美瑛の小麦を使った食パンなど、幅広い種類のパンが並び、その場でほおばれるイートインスペースも充実したパン屋さんです。
店舗から駐車場を挟んだところに、2020年、いちごハウスがオープンしました。

「まさか横浜のセンター北で、みなきたウォークで、高架下で、いちご狩りができるとは!」と誰しもが思ったことでしょう。
ここに辿り着くまでの話を代表の横澤さんに伺いました。

「高架下のいちごハウス」自分以外の周りが全員反対した

「この場所で子どもたちにいちご狩りをさせてあげたい」
実はいちごハウス計画、ひげぱんセンター北店のオープン前からカフェ併設という形で構想を練っていたそうなのです。

しかしながら、ひげぱんの店舗もそうですが、市営地下鉄が走る高架下で陽当たり条件に難有りの立地。
「自分以外、スタッフも農業の指導をお願いした業者もみんな反対した」と横澤さんは言います。

「高架下の陽当たり…本当に無理なのか?」
横澤さんは、日の出前から日の入りまで、いちごハウスができる場所に何日も居座り「これならいける」と確信しました。完全に日陰になるのはお昼の数時間で、朝日と夕陽はお日様が当たっていたのたです。

それからまず、横澤さんはパン屋を営む傍ら、いちご栽培について10年独学で勉強しました。

とはいえ農業の経験はほぼゼロ。農業の専門家やコンサルにバックアップをお願いします。

ところが…

「この立地がネックで、8社に断られました。唯一できます、と答えたのは適当な営業マンだったね。笑 10社目で断られたら、自力でやろうと思っていました」最後のチャンスに訪ねたのが農家さんへ苗や資材販売をする三好種苗株式会社の三好さんです。
「三好さんも、現場に来てうーんこれは。と難色を示していました。だけど『失敗した時の責任は私が全て負うから、どうしてもこの場所でいちごを作りたいんだ!』と食い下がったの。そうすると『前例がないので手探りにはなりますが、できる限りのことはさせてもらいます』と言ってくれた。ようやく思いが伝わった」

それから、三好さんの伝手で、各分野のスペシャリストがピックアップされました。
陽当たりをカバーする電照器具メーカー、有機栽培の土を販売する業者、受粉に必要なハチを卸す業者、あまおう栽培のアドバイザー。

みなさん口を揃えて「高架下で有機栽培のいちごハウスなんて無謀だ」と驚いていたと言います。

無農薬・有機栽培に挑戦

そしてついに、2020年のコロナ禍の中、9月にいちごハウスが完成します。
専門家のアドバイスを受けて、いちごの品種は「紅ほっぺ」を栽培。
農薬を使わず、ハケで丁寧に葉っぱの裏をはらって害虫を除いていく作業も、温度管理のため手動でハウスを開閉するのも、手作業になりますが「小さなハウスだからできること」だと横澤さんは言います。

虫が付かないよう葉の裏を丁寧にハケで払っていく

9月下旬に定植し、手塩にかけて育てられ、12月末に見事に実を付けてくれました。

オープン後はいちご狩りに小さなお客さんがたくさん訪れ、2期目の9月にはいちご苗の定植体験も行いました。
いちごハウス計画の原動力だった「この場所で子どもたちにいちご狩りを体験させたい」という横澤さんの願い。そして今、いちご狩りの看板には、満面の笑みでいちごを頬張る子どもたちの写真があります。

パン屋さんの方では、いちごの季節になると、ひげぱんいちごを使った商品も並ぶ
受粉に欠かせないクロマルハナバチ

高架下で、これからも挑戦し続ける

いちごハウスには、クロマルハナバチの飼育販売会社や照明の会社など、お世話になっている業者の方たちが定期的にハウスのチェックに来てくれていると言います。
「みんな気にかけてくれてありがたいよね。いちごを食べてもらったら、「(高架下の環境でありながら)こんなに甘いなんて!」と驚かれます。」と横澤さんは嬉しそうに語ってくれました。

4月上旬、真っ赤ないちごが栽培棚いっぱいぶら下がっていました

ちょうど、筆者が訪れた時、業者の方が資材を運んでいました。
「最初手伝うの戸惑ったデショ?」と横澤さんが声をかけると
「正直なかなか難しいしなーと思ったけど、やっぱり夢があるじゃない?」との答えが…!

費用対効果や立地条件などで厳しいことも、前例がないことも、熱意と独学と直勘で周囲を説き伏せ巻き込んで、周りをワクワクさせている。
業者の方がおっしゃっていた「夢があるじゃない?」という言葉から、そんな景色が伺えました。

今後はいちご栽培に留まらず、メロンの栽培にチャレンジする、と横澤さん。メロン栽培に向けての改装工事が間もなく始まります。

「パン酵母と同じで、自然を相手にするのは難しくて面白い」
ひげぱんの挑戦は、まだまだこれからも続きます。

ひげぱんのテーマは「パンが好き!いちごが好き!メロンが好き!この街が大好き!!!」

ひげぱんいちご狩りの詳細

時期:12月〜7月(旬は3月〜5月)
料金:1gあたり4円の計り売り
受付:当日店舗レジにて受付もしくは当日お電話で受付
※小さなハウスでいちごの数に限りがあるため、いちご狩りを実施しない日もあります。当日お問い合わせください
住所:横浜市都筑区中川中央2丁目1−1
電話番号:045-593-6377
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