社労士・FP AllAbout年金・社会保障ガイドの拝野(はいの)洋子です。
遺族年金をご存じですか?まだ老齢基礎・厚生年金をもらえない年齢の
方でも、家族の死亡、という衝撃の保険事故に遭ったときに
生計維持されている遺族に支給される年金です
もちろん、夫婦でお互い老齢基礎・厚生年金をもらっていて、
どちらかが死亡したときにも残された方(妻が多いです)に支給されます。
支給される優先順位は、配偶者と子、父母、孫、祖父母です。
多いのは、配偶者(妻)です。遺族厚生年金は、子供が無くても支給されますが
遺族基礎年金は高校卒業(または障害1,2級の20歳)までの子供が
いなければ支給されません。
遺族基礎年金も遺族厚生年金も在職中死亡、退職後在職中の病気で
5年以内に死亡した場合は死亡者の年金保険料が被保険者期間中
3分の2以上保険料が支払われてるか免除・猶予期間でなければなりません。
令和8年3月までの死亡なら以下のように、前々月までに
1年間未納期間がなければ、要件を満たしていることになります。
高校卒業までの子供がいて、遺族基礎年金
(子供1人で約100万円)を受給できますが、
子どもが大きくなってから、遺族基礎年金が無くなった時
約100万円も収入がなくなってしまいます。
そこで、死亡者が会社員だった場合は、妻が40歳以上
の場合、65歳まで中高齢寡婦加算59万円が支給されています。
これは死亡した会社員の妻限定の加算です。
60歳から65歳までの間、残された妻が老齢厚生年金を
もらえる場合は、遺族厚生年金とどちらか選択です。
子供がいなくても、遺族厚生年金や中高齢寡婦加算は支給されます
(再婚しなければ・・・)。中高齢寡婦加算、知らない方も多いです。
夫はもらえないので不公平だという声もありますが・・・
夫も扶養に入っている人はいるので、所得制限付きで子の無い夫にも
遺族厚生年金や中高齢寡夫加算が支給された方がいいと思います。
(現在は、夫55歳以上に妻が死亡、60歳から支給)
なんと!7月28日の社会保障審議会(年金部会)でこの
中高齢寡婦加算を20代30代の方に対して、段階的に
縮小、廃止していこうという意見が出ているのです。
まだまだ、賃金には男女格差もあります。
40歳以上で子供が高校卒業しても
子供が大学進学したい場合もあるでしょう。
遺族基礎年金100万円がなくなるのですから
中高齢寡婦加算59万円が支給されていれば
かなり助かることでしょう。
40歳以上の子持ち女性で高給の人はそんなに多くないです。
少しずつ増えてはいますけど・・・。
知られないうちに、この中高齢寡婦加算をなくそうと
しているとしたら、ずるいと感じます。
今後、パート勤務の方も厚生年金保険料を
取られる方が増えます。
厚生年金保険はまさに保険。
老後のように予想のつくことばかり
でなく、予想のつかない出来事に対しての
保険としての役割も大切なはず。
遺族厚生年金は、20歳から65歳までの働き盛り、
子育て盛りの人の大事なリスクヘッジではないでしょうか・
保険料を支払う人が増えるのに現役世代のリスク
ヘッジの部分を減らさないようにして
いただきたいですね。
ちなみに高校卒業前の子持ち、老齢年金までの
10年以上ある筆者も、万一夫の死亡で
遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されなければ痛手ですね。
もちろん仕事は頑張りますが・・・。
確かにいますぐなくすとは言っていません。
遺族厚生年金は、年収850万円(所得655.5万円)
までの配偶者なら請求できる
(子供のいない夫は現状55歳以上じゃないとダメ)
から、所得制限だけは見直しした方がいいと思います。
例えば年収500万円以下にするとか・・・
男性でも年収次第では中高齢寡夫加算を支給される
ようにすればいいのです。(主夫も増えてるでしょう)
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算については、20代30代の意見を
聞いてからにしていただきたいものです。
よろしければ拡散してください。
意見はこちらに言えますよ~~~
社会保障審議会(年金部会)議事録
厚生労働省の社会保障審議会(年金部会)を掲載しています。