第3回「たまプラを彩る人々~輝きと情熱のストーリー~ 」たまプラーザ テラス 総支配人 大木さゆみ氏

「たまプラを彩る人々~輝きと情熱のストーリー~」では、地域の魅力を作り上げている人々にスポットを当てます。昔は閑散としていた「たまプラーザ」ですが、今では季節ごとに楽しめるイベントや多くのお店が並ぶ活気ある街に変わりました。桜フェスティバルや夏祭り、ペアツリーイルミネーションなどの地域のイベントや、魅力的なお店でたまプラーザを盛り上げ、支えているのはどんな思いを持った人たちなのか。その情熱をお届けします。

みんなの笑顔が集う場所へ。今も未来もたまプラーザを「てらす

連載第3回は、たまプラーザになくてはならない象徴的な存在、たまプラーザ テラスの総支配人を務める株式会社東急モールズデベロップメントの大木さゆみさんです。今年の10月で15周年を迎えるたまプラーザ テラスのこれまでの歩みや地域に根差した取り組みについてお話を伺いました。

プロフィール

大木 さゆみ(おおき・さゆみ)氏
株式会社東急モールズデベロップメントで商業施設の運営やさまざまな企画を担う。たまプラーザ テラスでは総支配人を務め、日々たまプラーザ テラスと、we love tamaplaza など地域の活性化のために活躍。

たまプラーザのお気に入りの場所
「駅があって、そこから続くたまプラーザ テラスがあって、開放感があるけど大屋根があるこの空間がお気に入りです。 あとはテラスダイニング(一風堂の前)から南側を臨む風景。建物は低層だけど、そもそも地盤の高低差があるので南側は景色がぶわーっと見えるんです。」


駅から街へとつながる風景
テラスダイニングからの眺め

たまプラーザ テラスの誕生とそれまでの道のり

ロコ)たまプラーザ テラスはどのようにして誕生したのでしょうか?

大木さん)もともとたまプラーザは先に街の開発がスタートして、その後電車が走りました。 商業施設としては1982年に今のノースプラザにあたる百貨店を核テナントとするたまプラーザ東急SC(ショッピングセンター)ができました。今の百貨店の吹き抜けの周辺は、昔はショッピングセンターで、それより奥のところだけ百貨店になっていて、当初は分かれていたんです。

ロコ)分かれていましたよね!「こっちは専門店だからポイントがつかない」と親が話していたのを覚えています。

大木さん)そうなんです。 街でいうと、南側にはまだ普通に線路があって、それが街を分断していました。また、南側には生活利便施設が少なかったので、このエリアをもっと活用できないかという話が持ち上がりました。 街の活性化のため、1986年にたまプラーザ地区計画推進連絡協議会が、11名の地権者により発足しましたが、開発の規制内容が決まるまでに時間がかかり、実際にたまプラーザ駅周辺の開発が始まったのは2002年頃でした。 その後、2005年にたまプラーザ テラス着工となります。

たまプラーザ テラスは3段階くらいに分けて作られたのですが、最初にオープンしたのが2007年、今はスイミングスクールやトモズなどのお店が入っているサウスプラザでした。 駅と施設を一緒に開発するものの、当然駅を止めるわけにもいかないので、一気に開発するのではなく、部分部分で開発していきました。今でも館内を歩くと、建物と建物の金属のつなぎ目がたくさんあるのですが、それは建物を少しずつ作ってつなげて開発していったからなんです。

ロコ)なるほど!そういうことなんですね!

大木さん)段階を踏んで建物ができ、グランドオープンは2010年10月7日になります。 たまプラーザ テラスを作るときは、街もすでに成熟していました。当時の人口構成は30代前後の人が多く、その年代の方たちにも利用してもらえる商業施設にしたいという思いがありました。 高層ではなく低層の建物にし、道路側に店舗をつくるなど、すでにある「街」になじむように設計しました。百貨店の裏から団地に抜ける橋もそうですが、2階でテラスと百貨店をつなぐ工夫、地下にはバス乗り場を作ることで、歩行者と車を分離して安全性を高めています。さらに、南北の人の行き来も考えられています。

ロコ)とても興味深いお話です。最初から街に配慮しているから、駅と施設がなじんでいるんですね。

大木さん)商業施設としての運営だけでいうと効率はあまり良くないのですが、更地から作るのと違い、もともとしっかりした街があったのでこういう形になりました。 あとは、人が集まる場所を作りたいという思いがありました。いわゆる公民館でもホテルでもないけれど、人が集まれる場所があるといいね、ということで「プラーザホール」や広場もできました。当初からコミュニティを重視していたので、人が集まる場所があることがとても大切でしたね。


「たまプラーザ テラス」グラントオープンの際のテープカットセレモニー※提供:東急㈱

想像を上回るイベントの経験と、感じ取った情熱

ロコ)多くのイベントを開催していますが、なかでも印象に残っている出来事やイベントはありますか?

大木さん)わたしはここにきて3年なので、その前はあまり知らないのですが、DA PUMPのイベントの時はすごかったという話は聞きました。

ロコ)噴水広場のところですよね。集まった人数が本当にすごかったのを覚えています。

大木さん)「U.S.A.」が爆発的にヒットする前にプロモーションで来ることが決まっていて、ちょうどイベントをやるときには爆発的にヒットしていたと聞いています(笑)。

ロコ)まわりのDA PUMP世代のお母さんが、ISSAが無料で観られるとみんな盛り上がっていました(笑)。

大木さん)私が来てからは、「のるるん焼き」が初めてできた時のイベントですね。「銀のあん」の前に見たことがないような長い行列ができていてびっくりしました(笑)。

 お店の人が「このままでは当日中にご提供できないかもしれません」となって、途中でオペレーションを変更して1週間以内は引き換えできるようにしたことがありました。

ロコ)いまだに「のるるん焼き」は行列ができますよね。あの箱に入っているのが大事だと聞きました。

大木さん)電車箱は今年できたんですよ。実は発売の時に作りたかったのですが、間に合わなくて。 でも「のるるん」がいるのに「のるるん」が乗る箱がないとね、と話していて、やっと今年できました。思った以上に凝った箱に仕上がりましたね(笑)。

ロコ)そうなんですね。今もすごい人気で、キャラクターも育てるものだなと感じました。

大木さん) 「のるるん」のイベントは、やはりお子さんもたくさんいらっしゃったし、すごい熱気だったというのが印象に残っています。

あとは、私がたまプラーザに来て初めての桜まつりですね。すごく雨が降っていたのですが、「それでもやるんだ!」と、この雨でも中止にしない決断をしたスタッフの熱量がすごくて刺激を受けました。

街のみなさんとのつながりでいうと、当時の「プラ呑み」(今は「ちょい呑み」)も印象深いイベントです。わたしもテラスの外にある街の飲食店をたくさん訪れる大きなきっかけになりました。テラス独自のイベントではないのですが、最初に話していた街とのつながりという意味でも印象的です。

ロコ)今年は初めてたまプラーザに「お化け屋敷」も登場しましたよね。

大木さん)これも新しい試みです。私自身はお化け屋敷が苦手で、昼間の時間帯の「ビビりモード」の時に行ったのですが、報告用写真を撮るというミッションがあったのと、施設の構造がわかっていたので冷静になれました(笑)。
かなりしっかりと作りこまれていたので、子どもたちがトラウマにならないかっていうのも心配でしたが、みなさん楽しんでくれていれば良いなと思います。


毎年華やかなステージで賑わう「桜まつり」

たくさんの魅力であふれる街「たまプラーザ」

ロコ)たまプラーザの好きなところをお聞かせください。

大木さん)私だけじゃなくてみなさん同じかなと思うのですが、緑が豊かで、駅から街につながっていくようなところがたまプラーザの風景として良いところだと思います。

あとは地域のつながりです。私自身は商業施設の現場を担当するのが「たまプラーザ テラス」が二つ目ですが、たまプラーザは地域の人同士、住んでいる人、事業者も、いろんな人とのつながりがあって、さらにその結びつきが強いのが魅力ですね。

3つ目は、人口構成だけをみると青葉区は50歳前後の方が多いのですが、街としては小さなお子様もたくさんいらっしゃいます。一方でwe love tamaplaza project(以下、WLT)※1で活動されている商店街のみなさんはシニアの方もたくさんいらっしゃって、みなさんとてもお元気です。小さな子どもも元気だけどシニアの方もみんな元気、そういうところも良いところかなと思っています。

ロコ)こんなに街をあげて季節ごとにイベントがあるのは、地域の色々なつながりがあってこそですよね。


駅前のグリーン越しに眺める「たまプラーザ テラス」

ジモトの方と一緒に、ジモトにあるものを活かした取り組みを

ロコ)「FIND LOCAL」の取り組みをはじめ、多くのイベントや行事を開催していますが、たまプラーザ テラスとして地域との関わり方についてお聞かせください。

大木さん)私がここに来たのはコロナがちょうど終わるころで、すでにWLTがあり、桜まつりも3、4年ぶりでした。その間に社内で異動も多く、以前の状況を知るメンバーも少なくなっていました。私自身も分からないからこそ、イベントに参加することから始めました。そこで感じたのが、WLTなどを通じて築かれた地域のつながりの強さです。もともと地域との連携を活かしたイベントもあったので、この「たまプラーザらしさ」をさらに強めていきたいと考えました。

会社としても2023年から「FIND LOCAL」という「地域共創」のコンセプトを掲げていて、それがたまプラーザのコンセプトとも違和感のない感じがしたので、これにもっと力を入れようとなりました。 以前からジモトの事業者の方と一緒にマルシェをやっていまして、通常のマルシェよりも有機など比較的こだわりがあるものを扱っていたり、横浜のものだったり、、、もう少し地域色を強くしたのが「FIND LOCAL FES」です。他にも福祉系のみなさんとも一緒に取り組んだりしています。地域の中で、街の人たちと楽しくやれることを大事にしています。

毎回大人気のイベント「AOBA CRAFT ICE CREAM MARKET」。素材にこだわった選りすぐりのアイスが揃います

去年、青葉区と協定を結び、青葉区をより魅力ある街にするために、区と連携したイベントの開催や地域情報の発信を行ったりしています。消防に関しては消防署主催での地域での啓蒙活動にも協力しています。逆にテラス側で防災について考えてもらう機会を作ることにご協力いただいたりして、いろいろ地域にあるものを活かし、かつジモトの方たちに楽しみや学びの機会を提供していくという形でやっています。


お客様も働く人も「テラス」

ロコ)施設の裏側も、いろんな従業員の紹介の張り紙がありますよね。テナントさんとの関係性も大事にして運営しているのがすごくよく分かります。バックヤードもいつもきれい!従業員のお手洗いを見ても、働きやすさや、大事にされていることを感じるし、ちゃんと見てくれているということはスタッフも嬉しいと思います。それをお客様として利用しても感じると思います。

大木さん)たまプラーザ テラスはES(従業員満足度)にも力を入れているんです。テナントで働くみなさんは周辺に住む方も多く、お客様と同じように大切に考えています。繊研新聞がテナントにアンケートをとって決める「ディベロッパー大賞」という賞があるのですが、その中の「ES賞」を何度か受賞しています。

ロコ)応接室にたくさんの賞状がありますよね。

大木さん)そうなんです。実は昨日、社内で接客ロールプレイングコンテストの決勝があって、年々、出場するスタッフの接客力もすごく上がっています。もともとたまプラのお客様は、比較的高い接客レベルをお求めになっていると思うんです。店員さんには優しい一方、しっかりした接客をお求めになっていると。そういったしっかりとした接客ができることを目指しています。コンテストではそのレベルが皆すごく高い!と思いつつ、それでも点数をつけなければいけないのが辛かったです。

ロコ)みんな100点にしたいですよね。
たまプラーザ テラスは座る場所も多いし、いたる所に心配りを感じます。
引っ越して間もない頃にテラスのトイレがとても良い香りで、アロマがあることに感動したのを思い出しました。それって本当にただ買い物をしに来るだけじゃなくて、ちょっとほっとする感じ、それを感じ取ったんです。 細かい気遣いに感動したし、コンセプトに落とし込まれていることに今はっとしました。

大木さん)そういう取り組みを見ていただけているのは嬉しいです。


応接室に飾られた「ES賞」の賞状

元気で前向きな街であり続けるために

ロコ)たまプラーザ テラスと、たまプラーザという街はこれからどのように変わっていくと思いますか?またどうなってほしいと思いますか?

大木さん)日本全体で考えると少子高齢化が進んでいますが、今たまプラーザでは小さなお子様も多いし、シニアの方もたくさん活躍していますよね。多少世代交代しながらも、いろんな世代の人たちが元気に前向きに暮らしていて、今のこの暮らしを続けているというのが、今後のたまプラーザであってほしいなと思っています。

また、7月からスタートしたたまメシ。※2ですが、コロナをきっかけにモバイルオーダーなど、通常の飲食店がいろんな使われ方がされるようになってきていて、テラスだけではなく、他のジモトの飲食店と一緒にそういう新しいことを地域の中に取り入れていけないかな、というところから始まっています。地域の人たちと一緒に街が元気に活性化していくことに貢献していけるような、地域のハブになるような施設でありたいです。今までは「地域の人たち」と「たまプラーザ テラス」と「街」というかたちで色々取り組んできましたが、これからはもっと一緒にできることを共にしていきたいと思っています。

たまプラーザ テラスは「私をかなえる場所。たまプラーザ テラス」というコンセプトがあるんです。たまプラーザのみなさんは、前向きで、成長していきたいという方が多く、そういう意味で新しい体験を重ねられる場所であったらいいなと思っています。ただ買い物の場所だけではなくて、そういう時間を過ごしてもらいたいですね。

ロコ)今日は素敵な話をありがとうございました。


たまプラーザ テラス 15周年記念イベント情報

たまプラーザ テラスでは15周年を記念して、たまプラーザ テラス店でしか購入できないデザインの限定商品やノベルティを38店舗で展開しています。※品切れの際はご容赦ください。

有隣堂では15周年記念のブックカバーが選べます


他にも楽しみなイベントが毎週末開催されています。
詳しくは特設サイトをご覧ください。
たまプラーザテラス開業15周年 特設サイトはこちら

we love tamaplaza project →「we love tamaplaza」を合言葉に、もっと住みよい、もっと素敵な街を目指して、たまプラーザおよびその周辺の施設や団体、企業が協力して、街の繁栄と発展のために必要な事業を行います。会員相互間、街の住民、就業者、その他関係者のコミュニケーション活動、コミュニティの形成を支援し、永続的、発展的な幸せあふれる街づくりを目的とするプロジェクトです。 本プロジェクトは、以下の団体で構成されています。 株式会社東急モールズデベロップメント・株式会社イトーヨーカドー・株式会社東急百貨店・東急株式会社・一般社団法人たまプラーザ中央商店街・たまプラーザ商店会・たまプラーザ駅前通り商店会・株式会社東急ストア・美しが丘連合自治会

※2たまメシ。→ 7月7日から始まったたまプラーザ テラスとたまプラーザ地域に出店する飲食店舗の商品を、スマホで手軽に注文できるモバイルオーダーサービスです。

店舗情報

たまプラーザ テラス
公式HP
住所:横浜市青葉区美しが丘1-1-2
TEL:045-903-2109(インフォメーション)
※各店舗への転送は行っておりません
営業時間:テラスダイニング/11:00~22:00
     テラスキッチン/11:00~21:00
     ショップ/10:00~20:00