埼玉の高校生がたまプラでインターン!特別レポート・後編
2017年12月25日(月)、埼玉県立吹上秋桜高校の2年生が株式会社ロコっちにインターンにやってきました。これは、グロービス経営大学院の学生による研究プロジェクトの中で検討されている「高校生インターンシップ事業」の実験に協力したものです。
代表の藤村から自分のキャリアに対する考え方とロコっちの事業概要の説明、仕事の打合せへの同席の他、平素お世話になっている方々に仕事について語っていただきました。
このレポートは、インターンシップ生である高校生の文をほぼそのままの形で掲載しています。後編は、新石川のレストラン「Mom’sダイニング」を経営する株式会社さくら工房社長の櫻井友子さんと、税理士事務所を営む荻原真知子さんにお話を伺いました。
前編を読む
目次
さくら工房 櫻井さんのお話
そして打ち合わせはひとまず終了となり、浅海さん、藤本さんと別れ、次にさくら工房の櫻井さんに話を伺った。
櫻井さんは話し上手な方で、私が黙って聞いていても途切れることなく話を続けられるような人だった。それはコミュニケーション能力が非常に高いからこその事だと思う。そのコミュニケーション能力の高さと櫻井さん自身の人間性が相まって今の状況が実現したのだろうと思った。話を聞いていて、櫻井さんは食に対して私とは比べ物にならない思い入れがあるのだろうと感じた。櫻井さんにとって仕事とは「人生」らしい。「人を食で健康にする」というのが、自分の使命なのだと。なんだかとても壮大な物語の主人公が、少し冷静に考えると大き過ぎる夢を宣言したシーンに出会ってしまった気分だった。しかし実際に櫻井さんが今している事は確かに人を食で健康にするものだったと思う。実際に食べさせて頂いた米粉を使ったシフォンケーキをはじめとして、お店のメニューにはヘルシーで、なおかつ栄養バランスの取れた料理が沢山載っていた。また、消費者との距離感を非常に大事にしていて、相手の身になって考えるのが大事だと言った。確かにそうだと思う。私もアルバイトを始めてからその事が本当に痛いほど思い知ったのもあって、それを櫻井さんが大事だと言った意味がよく分かった。
税理士 荻原さんのお話
最後に、現在税理士事務所を営んでいる荻原さんの所を訪れた。
荻原さんの経歴はなかなか聞かないようなものだったのもあって、どんな話になるのかと若干ひやひやしたが、荻原さんは櫻井さんとはまた違った話し上手な方で、私は話をリラックスして聞くことができた。荻原さんが税理士の資格を取得するまでに13年かかったという話をした時は、すぐにその数字の大きさを理解するのには思考が追いつかなかったが。きっとその勉強を面白い、と思っていたり、友人に支えられた事があったから13年も諦めずに続けられたのだと思う。荻原さんは仕事を「生きがい」で、「なくてはならないこと」だと言った。しかし営業事務に勤めていた時はお金の為だったそうだ。荻原さんはサラリーマンと自営の感覚は別物で、自営は1人で多少自由だが、サラリーマンの場合はやりがいを見つけないと長続きしないと語った。それを聞いて、まず最初にこれはとてもいい事を聞いたな、思った。私は仕事に対してやりがいを見つけるのは個人の勝手で、それを見つける絶対的な必要性などこれっぽちも無いものだと心のどこかで思っていた部分があった。しかし目の前で今まで何度もやり直しを経験して、やりがいの重要さを知った人がそう言ったという事が、私の考え方を変えさせてくれたんだろうなと思う。
インターンを終えて
この日会ったのはそういった方達ばかりだった。例えば話をしてくれたのが大した失敗も、自分から何かを始めようとした事も無く、ただ人並みに苦労しただけのような人で、口だけは偉そうに「~は大事だ」だとか、「~をするべきだ」という事を山のように聞かされたとしても何一つ心に残らなかった。私が会ったのは、仕事に納得出来ず、自分の納得のいく仕事を求めて行動したり、苦手な事にも手を出して仕事にしたり、何度も何度も失敗を経験した上で、それでも諦めなかった強くてたくましい誰かの手本になれるような方達だった。そうじゃなかったらきっとこの文章には上辺だけの「すごいと思った」というフレーズが乱用されていた。
ある日突然声を掛けられて、あれよあれよという間に決まったこのインターンシップへの参加だったが、今になるとものすごく貴重な体験をさせてもらった。こんな体験はなかなか出来るものではないし、なによりこの日、私の中の仕事に対するどこかぼんやりとした考え方が様々な人に会って塗り替えられた事によって、私のこれからの人生の道筋がまた変わっていくだろうと思った。
そしてこの日、失敗に対する考え方も変わった。人は何かをした時、誰もがそれを「成功した」、「失敗した」と判断すると思う。「成功だ」と判断した場合は少なからず達成感や満足感を覚え、「こうすれば成功する」ということを知り、持続していくことで自分の中に経験値として蓄える。「失敗だ」と判断した場合は「こうすると失敗してしまう」ということを知って、それを知ったままにしないで改善することで経験値に変換される。ここまでがインターンシップに参加する前の私の考え方だ。今回インターンシップに参加して、この考えに「失敗と成功から得られる経験値の差」が追加された。ただ成功を繰り返すのと、失敗を経て成功するを繰り返すのでは果たしてどちらの経験値が高いだろうか。失敗と聞くとあまりいいイメージがないのは確かだと思う。でもその失敗を経験した上で成功したとしたら、普通に成功した時の経験値とは比べ物にならない、とても価値のあるものになると思う。失敗はけっして悪いことであるとは言い切れない。失敗する事には価値がある。この日は失敗に対する考え方についても、個人的にとても考えさせられた日だった。
正直、インターンシップに対して最初は不安しかなかったが、今は参加して良かったと心から思う。そして、これからもまだ長く続いていくであろう私の人生の中で、この日の事を存分に役立たせていこうと思った。