たまプラーザ駅前通り商店会に7年前からあるオーダー家具のお店『3rd your life style shop』。
そのはじまりやモノ作りへの思いを伺いに、社長の青木祥一氏にお話を伺ってきました。
前編は、たまプラーザ出店までの道のりや商品のこだわりについて紹介しています。
目次
はじまりは2人の男の出会いから
青木さんが青山の家具店で修行中だったときのこと。家具は長く使われるものなので、「作って」「売って」「使う」という直線的なモノの動き方ではなく、もっとお客様の生活に入り込んだ家具作りが出来ないだろうか、と思っていました。
そんな時、一人の男が訪ねてきました。近所で家具の工房をしているとのことだったので、青木さんは一枚板の端材の仕上げを依頼。彼は翌日、天板として仕上げた板をもってきたときに、わざわざそれを立てかける台を添えて持って来ました。
その時、「あ、こういうことなんだよな、と腑に落ちた。こういう感覚を持っている人にモノづくりをしてもらうと、私がやりたいことが形になるかも」と思ったと青木さんは言います。それから約1年くらい、彼の工房に足を運び、モノづくりへの思いを語り合うようになりました。
それが今の工場長であり、二人で「作り手」と「売り手」の組んだモノづくりが始まったのです。
「これまでは直線的だった「作り手」「売り手」そして「使い手」の3者が、三角形になって結んで戻ってくるような気がした。3者が一つのモノを作ることに対して協力できるような体制であれば、オーダー家具のお店としてやっていくことができるのではないかと思ったんです。」
店名「3rd your life style shop」の由来は、ここにもう一人、当時のプレス担当が加わり3人で始めたこと。同時に、お客様と工場と売り手の3者のことでもあり、さらに野球でいうサード、つまりホームベース(=家)に一番近い場所、という意味も込められているといいます。
「お店のコンセプトは”暮らしに添ったモノづくり”です。どんなものでも、簡単に手に入るものは簡単にいらなくなってしまう。お客様に、『これが欲しい』という意識をしっかり持ってもらいたい。お客様のライフスタイルに添ったモノ作りを全力でする一方で、モノづくりをする私たちの思いも含めて一つの家具を一緒に考えていきましょう、というのが私たちのコンセプトなんです。」
商品の特徴とこだわり
3rd your life style shopのデザインの根底にあるのは直線で、そこに奥行きを与えて立体化し、グラマラスなデザインにするのだといいます。
「特徴のひとつは、取手のついた家具が少ないことです。なるべくフラットなシンプルで飽きのこないデザイン、その場所に同化するデザインを心がけています」
「素材に関しては、元来、木製品がメインであることには変わりがありませんが、お客様の多様な要望に応えることができるよう、いまでは石、タイル、ガラス、ステンレス、鉄なども組み込んだデザインにしています」
また、家具作りで大切なことの一つが強度ですが、デザインと強度は相反するものであることが多いとのこと。デザインと工場の間で緊密にコミュニケーションを取ることで、デザインと強度の最良のバランスを見つけ出すことができるといいます。
様々な異素材を調和させた、たまプラーザ店の化粧室
3.11をきっかけに誕生したたまプラーザ店
『3rd your life style shop』は2007年に東戸塚に第1号店がオープンしました。
第2号店であるたまプラーザ店がオープンしたのは2011年6月。東日本大震災がきっかけだったといいます。
当時、取引先だった工場なども被害に遭う中、
「私たちがオーダー家具をするということで、モノづくりをする人に元気になってもらいたい、お客様に新しいものが入るのは楽しくて活力になるものだということを広い範囲で伝えたいと思ったんです。」
青木社長が、25〜30年ほど前から好印象を持っていたというたまプラーザ。ほとんど業者を入れず、スタッフや学生のアルバイトらで、もともと中華料理屋だったところを自分たちの手で改装して店舗を作り上げました。