ひろたりあん通信編集長・宮澤 高広さん インタビュー・後編

たまプラーザの歴史に詳しい人と言えば、必ず名前が挙がるのがひろたりあん通信編集長の宮澤高広さんです。宮澤さんはなぜそんなに地域に詳しいのか!?その秘密は宮澤さんの深い歴史愛にありました。

後編は、宮澤さんの現在の活動を中心に伺っています。

前編を読む

それからがひろたりあん通信につながっていくのですね。

最初に務めた新聞販売店は、もともと廣田新聞店からのれん分けされた会社だったんだけど、その後、後継者がいないということで再び吸収合併され、自分もそのまま廣田新聞の社員になった。当時、廣田新聞には旅行部があって、旅行業務の資格があるならということで旅行部へ。なので、最初は読者の方を旅行に連れて行く添乗員などもしてました。才能ないのに…。(笑)

その旅行事業も、9.11をきっかけに廃業。その頃、単発で執筆していた特集記事が読者の方から評判を呼んで、ひろたりあん通信の編集に関わるようになったんだよ。それまでにないアカデミックな記事を読者の皆さんに評価してもらったんだね。青葉区都筑区は文化レベルが高いんですよ。その流れで連載が始まったのが「地名推理ファイル」。もう16年続いています。


現在も定期的に地元をめぐる歴史ツアーのガイドを務めている

推理小説が好きだった影響も出ていますね!

先日、内田康夫先生が亡くなっちゃったけど、一人旅の時に、よく浅見光彦の事件の舞台になった場所も巡ってましたよ。「う~ん、ここで死体が遺棄されたのか~」とか「犯人はこの道を通って逃げたのかもしれない」とか。(笑)

歴史の真実は誰にも分からない。だから、実際はどうだったんだろう?って考えるのが重要だし、面白い。そういうものを書いていると、「それは違う」とか「嘘ばっかり書いてんじゃない」ってクレームが来るんだよね。だから、「推理」ってタイトル。(笑)そうしとけば逃げ道になるでしょ。

青葉区はあんまり歴史的な事件があるイメージはないですが、ネタは尽きないですか?

全くネタは尽きないね。たまプラーザや荏田周辺は、江姫(江戸幕府2代将軍徳川秀忠の妻)の所領だったり、都筑区に昨年の大河ドラマ「おんな城主直虎」に登場した松下常慶の領地があったり。日本史の大きな事件や人とも、何気につながっている。記事の中では、そうしたつながりは奥が深いんですよ。

街道シリーズも、鎌倉街道、大山街道ときて今は絹の道、津久井道を取材中。街道を実際に歩き、そこで発見したことをそうした歴史とつなげながら、思いのままに書いている。なので、時々横道にそれたりして、なかなか進まない。元の道に戻すのがこれまた大変なんですよ。(笑)

Web版のひろたりあん電子通信に高丸コレクションというのがあって、ここに今まで書いた連載記事や特集記事が蓄積されているので、ぜひ読んでみて下さい。特集記事なんて、自分で言うのもなんだけど、めちゃくちゃ面白いですよ。(笑)

「わが町今昔」という昔の風景を紹介した記事や、「夢の吹く丘」という地域の人にインタビューした記事もある。「夢の吹く丘」は、第1回がファイティング原田さん、2回目が伊吹吾郎さん、3回目が羽場裕一さん、と、すごく豪華な顔ぶれですよ。どの人もそうだけど、夢を実現した人、夢に向かって頑張っている人に共通するのは、みんな前向きだということ。そして、人との出会いを本当に大切にしていること。成功している人っていうのは、人とのつながりを大事にしてるんだね。


宮澤さんの蓄積された知識は、歴史セミナーという形で披露されることも

ひろたりあん通信は、本当に地域密着ですね

廣田新聞店は、青葉区の約7割と都筑区の約三分の一という広大な配達エリアに新聞を配達しているんだけど、田園都市線が開通する前は1000軒くらいしかなかったんですよ。元々は、地域の人たちのためにニュースを届けたいという創業者の思いがあって設立された新聞販売店。だから、もうすぐ100周年を迎えるけど、ずーっと地域密着。これほど地域に根ざした新聞店は珍しいと思いますよ。

ひろたりあん通信の編集長以外にもいろいろな活動をされているのですよね。

例えば、紙芝居。あおば紙芝居一座のメンバーとして歴史もののオリジナル作品を5作品作った。最近では、「江姫物語」というのを「劇団そよ風plus」という劇団のために作ったんだけど、パワーポイントを使用して、劇団の人がアテレコしてくれたんで、すごいクオリティの高いものになってます。

それから、3丁目カフェで毎月第4水曜日にやっている寄席「丘の横浜・たまぷら座」。こちらは、たまプラーザに文化の発信拠点を作りたいという3丁目カフェのオーナーである大野さんとしていて、地元の落語家である林家錦平師匠にも協力してもらい、一昨年の10月に始めたんだ。「横浜にぎわい座」にも話を聞きに行って、いずれは、連携したいという思いから「にぎわい座」にあやかって名前をつけました。

当初は落語だけだったけれど、今は腹話術のキャサリン野村さんを司会に迎えて、大衆芸能全般を楽しめる寄席を目指してます。新しいお客さまも増えてきているので、もっと幅を拡げて、たまプラーザだけじゃなくて沿線からも来てくれるような体制にしていきたい。

他にも、歴史講座や小学校での授業。歴史スポットをめぐるウォーキングイベントなどもしています。必要とあればどこでも飛んでいくので、ぜひ声をかけてください。


落語家、立川晴の輔師匠と。トレードマークのハンチングは、約10年前から奥様の勧めでかぶり始めたそう。

今後さらにやっていきたいことはありますか?

今まで連載してきたものをまとめて本にしたいね。読者の方からも出して欲しいという声をたくさんいただいているので、これは絶対やりたい!とはいっても、今は忙しすぎて手を付けられない。出すとしたら定年後かな。(笑)

ひろたりあん通信

毎月第3日曜日に新聞折込みで発行される地域情報を掲載した新聞。3丁目カフェなどの一部の商店街の店舗でも配布しているほか、Webでも見ることができる。
ひろたりあん電子通信
高丸コレクション

丘の横浜 たまぷら座

毎月第4水曜日に3丁目カフェで行われている寄席。次回開催は下記の通りです。

日時:2018年3月28日(水) 15:00~
場所:3丁目カフェ
参加費:1000円(1ドリンクのオーダーをお願いします)
出演:桂米多朗師匠 / 司会:キャサリン野村
詳細は、3丁目カフェHPをご覧ください。

宮澤さんの歴史セミナー

市ヶ尾の梅の木眼科医院で、宮澤さんが講師を務める歴史セミナー「高丸の歴史散歩~丘のヨコハマと歴史ドラマ~」が開催されます。

日時:2018年3月27日(火) 午後1時45分~午後3時
場所:梅の木ロービジョンケアルーム
参加費:無料
詳細は、梅の木眼科医院HPをご覧ください。