たまプラーザを拠点に働く女性にインタビュー⑧

たまプラーザ(神奈川県)を拠点に働く女性のインタビュー記事です。
彼女たちが、いろいろな立場や環境のなかでいかにしてチャンスをつかみ、キャリアを築いてきたのか、副業や複業、起業を考えている人、進路に悩む学生のみなさん、社会との接点を持ちたいと考えている人、すべての“働く人”のヒントになることを願っています。

プロフィール

薬膳フードデザイナー/セラピスト 中村幸代さん

都筑区のご自宅(センター南と仲町台の中間)で整体・リフレクソロジーのサロン
▶薬膳茶やなつめのネット販売を運営

【サービス内容】

〜Sola〜では、主に推拿整体&薬膳茶で身体を整えるお手伝いをしています。
『気・血・水』を巡らし整えることで、今はもちろん、10年後をより明るく笑顔溢れる毎日へ導き、あなた本来の健康と美しさを引き出していきます。

季節の薬膳の講座、体質に合った薬膳茶のご提案、季節の薬膳茶、なつめの販売
推拿をベースにした整体・骨盤調整、マタニティ整体、産後出張整体(産後すぐから対応)
マヤ暦
経絡トリートメント

〜Sola〜 港北ニュータウンのおうちサロン

インタビュー

藤戸:今日はよろしくお願いします。中村さんは出産後のママにリフレクソロジー(足裏のマッサージ)をされているそうですね。

中村さん:はい。その他にも自宅サロン(センター南と仲町台の間)で整体とリフレクソロジーを行っています。リフレクソロジーはリンパマッサージに近くてツボを押しながら施術をしていきます。

藤戸:整体とリフレクソロジーの両方をされているのですね。このお仕事をすることになったきっかけを教えてください。

中村さん:私には3人の子供がいるのですが、一番下の子供が幼稚園に入ると自分の時間を持てるようになりました。その時間で何かをしたいと思っていたときに、たまたま高校の先輩と会う機会がありました。その先輩がハンドマッサージを教えていることを知り、講座に参加したことがはじまりです。

藤戸:マッサージに興味があったのですか?

中村さん:もともと人の身体に興味があり、将来は看護師になりたいと思っていました。高校生の頃、看護師の道に進みたいと言ったところ、親や高校の先生には真剣に取り合ってもらえませんでした。進学校だったため、その雰囲気にそれ以上は先生にも友達にも相談することができず、一人で悶々と悩んでいました。進路についての理解が得られず、看護師になることを諦めてしまったのです。

藤戸:そうだったのですね。

中村さん:ハンドマッサージはとても楽しかったです。ちょっとした身体のことだったのですが、学び始めると面白くて資格まで取得しました。

ハンドマッサージだけでなく、もっと身体全体のことを知りたいと思っていたところ、「面白い整体師さんがいるよ」と友人に紹介してもらい、今の仕事をはじめるきっかになった整体の先生と出会いました。

先生の施術を初めて受けたときの私は、いろいろなことがあり、気力がなく落ち込んでいました。施術後の身体はとても軽くじんわりと身体に効いていることを感じ、これは凄くいいかもしれないと思いました。

藤戸:先生はどのような方なのですか?

中村さん:私と同じように子供が3人いてバリバリ働いていました。憧れの人が突如目の前に現れた状態になりました。それ以来、先生の施術を受けに通いました。その整体サロンは施術だけでなくスクールも併設されていたのですが、いよいよ学びたいと心が決まったところでお店が閉店してしまいました。途方にくれていたところ、先生が町田でスクールを始めると聞いて「もうこれはやるしかない」と思いスクールに入りました。入ってとても良かったです。学べば学ぶほど、どんどんはまっていきました。

藤戸:人の身体のことが、やはりとても好きだったのですね。

中村さん:そうですね。学ぶことが楽しくて仕方がなかったですね。

藤戸:高校の頃の話に戻りますが、看護師の道を諦めて卒業後は何をされていたのですか?

中村さん:大学は受けましたが結果には繋がらず、卒業後、浪人生活を送っていました。ですが、勉強に身が入らず考えた末に就職をすることにしました。

藤戸:どのような会社に就職されたのですか?

中村さん:海運会社に入社し、経理のお手伝いをしていました。昔からある会社で年配の社員の方が多くて、補助的な仕事が中心でした。仕事らしい仕事がなく、このままでは仕事の経験を積むことができない思い1年で退職しました。

藤戸:仕事をもっと任されたかったのですね。退職後は何をされたのですか?

中村さん:深夜にファミリーレストランでアルバイトをしながら仕事を探しました。ある会社の面接に行ったところ、同じグループ会社の社長がたまたまその場にいて、応募書類をみて私が高校の後輩だと知り、そこから話がトントン拍子に進み、その社長の会社に入社が決まりました。

藤戸:それもご縁ですね。そこではどのような仕事をされていたのですか?

中村さん:半導体関連の会社の事務です。そこで主人と出会い結婚を機に退職しました。入社して3年でしたが、当時はまだ結婚退職が普通だったのでそういうものだと思って退職しました。

藤戸:退職後は専業主婦をされていたのですか?

中村さん:いくつかパートをしていましたが、第1子の妊娠を機に辞め子育てに専念してきました。整体スクールに通うことになって、授業料を捻出するためにまたパートを始めました。昼間はスクール、夕方4時~夜8時まで高齢者施設の調理補助やスーパーのレジをしていました。

藤戸:専業主婦だった中村さんが夜のパートと昼の学校と多忙な生活に変わり、ご主人の反対はありませんでしたか?

中村さん:主人が仕事でいない間のことだったためか、気にならなかったようですね。最初の頃は私が趣味でやっていると思っていたようですが、今はもう仕事で真剣にやっていることを理解してくれています。最近では近所の人に私の仕事を紹介してくれます。

藤戸:幾つものことをやりながらでとても大変だった思いますが、心の底からやりたいと思えるものに出会ったからこそ、やり通すことができたのですね。そこからどのようにして今の仕事になったのですか?

中村さん:スクールで整体のモデルなどのお手伝いをしていたのですが、そのうち講座を任されるようになりました。それがきっかけで少しずつ収入を得るようになり、自宅でもサロンを開き仕事として始めるようになりました。

しばらくして、サロンが東京に移転することが決まり先生が東京で教えることになり、私ともう一人の仲間でスクールのお手伝いやサロン業務に携わることになりました。しばらくしてから、先生が町田の助産院で施術をしていた産後ケアの仕事を、一緒に引き継ぐことになりました。

藤戸:産後ケアというのは、出産後のお母さんに骨盤調整をすることですか?

中村さん:そうです。スクールではそのための整体とリフレクソロジーを学びました。出産2,3日後に推拿(すいな)整体を使って全身をほぐしていきます。

※推拿(すいな)整体とは、中国から伝わった手技で、漢方、鍼灸と並ぶ中国三大療法の一つ。「推」は押す、「拿」は掴むという意味があり、器具を使わず手技のみで気血水の流れを整え、身体全体のバランスを整えていく療法。

藤戸:産後ケアに興味があって整体をはじめたわけではないのですね。

中村さん:そうですね。整体の先生が産後ケアをやっているのを見て憧れるようになりました。

私も出産したときに腰痛でつらかった経験があります。妊婦というだけで誰にも施術をしてもらうことができませんでした。私と同じように思っている人もいるのではないかと思っていました。そのようなこともあって、先生が産後ケアをやっているのを知っていつかはやりたいと思っていました。

藤戸:念願が叶ったわけですね。どんなときに、産後ケアをやっていてよかったと思いますか?

中村さん:「産後にこのような施術を受けられるとは思ってもみなかったのでとても嬉しいです。」と喜んでくれた時や、ホッとして休めている様子を見た時ですね。産後ハイで眠れないときはとてもしんどいと思います。そんなときに施術を受けてリラックスしてもらうと嬉しいですね。

藤戸:憧れの先生の元を離れることになったのは、どのような理由からなのですか?

中村さん:「自分の本当にやりたいことは何だろう」と、これからの自分についてじっくりと考えましたとき、もっといろいろなところでたくさんのお母さんたちの産前産後ケアをしたいという思いがあることに気付きました

サロンにも新しいスタッフが何名か入ってきて、仕事を任せられるようになったことと、ゆっくりと自分のペースで産前産後ケアを広げていきたいと思うようになり、2016年に東京サロンを辞めました。

藤戸:進む道が明確になったのですね。先生の元を離れてから、今に至る道のりを教えてください。

中村さん:どうやって産院に広げて行こうかと考えていたとき、たまたま実家の近くに新しくできた産院の前を通りがかり、そこに産前産後ケアの紹介に行きました。院長夫婦が興味を持って下さり、その産院で産前産後ケアが始まりました。最初は週2回から始まり、現在は週3回訪問して産後ケアを行っています。

藤戸:自宅サロンでの施術もされていて、多忙な日を送られているのですね。

中村さん:そうですね。でも今はやりたかったことができているのでとても満足しています。

藤戸:中村さんは整体だけでなく、薬膳茶やなつめの販売など、身体を良くすることや身体の中から健康にするということにもご興味があるそうですね。

中村さん:そうですね。自宅で手軽に健康に繋がるものがあったらいいなと思ってお茶やなつめの販売を始めました。良いものを探し求めて海外にも足を運び今の商品にたどり着きました。また良いものがあれば、試していきたいと思っています。

これからの展望を教えて下さい

いくつかの産院と提携して産前産後ケアを広げていきたいと思っています。私だけでなく、仕事の仲間も一緒に協力してやっていきたいと思っています。また、最近リフレクソロジーを教えるようになりました。講座を増やしてたくさんの人にリフレクソロジーを広めて行きたいとも思っています。

仕事をするうえで大事にしていることを教えて下さい

中村さん:施術を受けた人が受けた後、元気になって楽しく幸せになってくれることです。

藤戸:中村さんが活動している地元(センター南と仲町台の間)がどんな地域になるといいと思いますか?

中村さん:新しく入ってきた人も、以前からここにいる人も、この地域の人たちがもっと気軽に集まれる場があるといいなと思います。

藤戸:地域の人にリフレクソロジーを教えることもできますね。

中村さん:そうですね。そういうこともできますね。できそうな感じがしますね。

藤戸:ぜひ、地域の人たちに広げてください。本日はありがとうございました。

<キャリアコンサルタント藤戸寛子のつぶやき>

 中村さんの施術は、ふんわりとした中村さんの印象と同じく優しく温かいタッチで、リラックスした時間を過ごすことができました。中村さんが初めて先生の施術を受けたときと同じように、私も施術が終わった後にじんわりと効いてきている感がとても心地よかったです。

 話をじっくりと聞いてくれて、中村さんから滲み出ている優しさに、安心して自分の身体を委ねることができます。きっと妊婦さんや新米ママも同じ気持ちなのだと思います。気持ちが不安定になりがちなときに中村さんに出会い、話ができることはとても心強いことだと思います。

 高校生の中村さんの進路選択の話では、キャリアコンサルタントとして様々な思いがこみ上げてきました。時代的な背景があったかもしれませんが、同じようなことを繰り返さないためにキャリアコンサルタントとして何ができるのかあらためて気付かされた話でした。

中村さんがやっと巡りあった身体の仕事に、これから思う存分邁進されることだと思います。過去を変えることはできませんが、未来は自分で如何様にも思い描くことで実現していくことができます。中村さんの行動力があれば、夢が実現する日もそう遠くないと確信しました。