後半は、帰国後の活動と、「ダダンチダンチ」に対する思いについて伺いました。
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日本に帰ってからも、音楽を続けてたのですか?
そうですね。語学力を生かして、ホテルのフロントで働きながら、音楽優先に仕事をしていました。そのホテルでは今もフルタイムで働いています。
当時活動の中心にしていたのは、ミュージカルとオペラの中間位の位置づけで、「オペレッタ」を上演するオペレッタ座。もともとミュージカルに興味があり、ダンスもしたかった私にはオペレッタはぴったりでした。
出産するまでは、他にもオーディションを受けて、区や市の主催するオペラに単発で出演していました。仕事終わってから夜中まで稽古する日々で、妊娠7~8ヶ月までは舞台に出ていましたね。
里香さん(後列中)が現在活動する音楽工房Le Pont(ルポン)
出産を機に生活は変わりましたか?
オペラを出演するとなると、3ヶ月前からみっちりけいこがあるので、子供がいると無理なのですよね。
そこで、ちょうど同じ頃出産していたオペレッタ座で出会った仲間と、音楽工房Le Pont(ルポン)というグループを作り、赤ちゃんと来られるようなコンサートを始めました。
赤ちゃんが泣いても、気にせず聞き続けられる、子供向けの歌も歌うけど、本格的な歌も歌う、そんなコンサートです。ルポンはフランス語で橋という意味で、みんなの架け橋になったらいいなという思いで名づけました。
年1~2回、あざみ野フォーラムやヨツバコでイベントを開催しています。11/28に青葉台のフィリアホールで開催される「ママたちの文化祭」にも出演予定ですので、よろしければ聴きにきてください。
また、それ以外にママイングリッシュという子連れで、ママが英語をブラッシュアップするサークルも主催しています。英語が好きなママさん、いつでもウェルカムです!
今回総合演出を務めているたまプラ一座とはどういう関りなのですか?
1回目のフラッシュモブと、4回目のBAMBOOOMに歌で参加しました。私が踊る人なのは、たまプラ一座の誰も知らないと思います(笑)
今回5回目のダダンチダンチで、私が総合演出を頼まれたのは、たまプラ一座代表の林月子さんが団地でコーラスをやる、というイメージを強く持っていたからだと思います。
私は、たまプラ団地の住人でもありますから。
正直、私は大きなイベントの演出経験はなく、プライベートコンサートの演出などしかやったことないので、無理かもしれない、という気持ちもありました。最初は自分1人ではできないと思っていたんですけど、ある人が言ってくれた「働きながら、子育てしながら、いろんな人の助けを借りながらやりとげることができたなら、それこそがまちなかパフォーマンスのテーマである「育ちあい」につながるのではないか」という言葉が背中を押してくれました。
そんなことができる機会はなかなか得られないですよね。街のことを考えたり、子供が育っていく街のことを掘り下げたりするいいチャンスだと思い、お引き受けしました。
子供が生まれてから公園などを通じて、地域の友達が増えました。それを同じように、こういった地域のイベントを通じて、友達が増える人が増えたらいいな、と思います。
第1回目まちなかパフォーマンスでの里香さん
企画から里香さんが考えているのですか?
コンセプトは月子さんですね。それをもとに、私は具体的に何をするかを考えています。みんなで「朗読って面白いよね」「タップを教えてくれる人がいるから入れてみよう」という具合で議論して、素直にいいなと思ったことをどんどん取り入れています。
フランスで演劇のクラスを1年受けたのですが、その時に初めて詩の朗読をして、その魅力に感銘を受けました。詩だけを舞台にのせて、パフォーマンスにすることができる、というのは発見でした。その経験が今回にもつながっていますね。
ほかに見どころはありますか?
全部のシーンが子供みたいなもので、全部大事なのですが、特に見ていただきたいのはパントマイムですね。
パントマイムって自分の生活を振り返ることができるのです。普段大脳が勝手に動かしてくれている何気ない所作を、意識を持ってやるには分析が必要です。あれを取る動作をする、それにはまず、足を出して、それから膝を曲げて、、、という風に一つ一つ掘り下げて考えていかなければならないのですね。
ダンスは振り付け、歌が楽譜という決まったものがありますが、今回のパントマイムにはそういった定型がありません。それぞれの普段の生活を、意識して理解して人前で再現するということを実現したい。生きるだけの生活が舞台にのることで、価値が出ると思うのです。
第4回まちなかパフォーマンス「BAMBOOOM」での里香さん
最後に、将来実現したいことがあれば教えてください
ホテルと舞台の経験を活かして、ゲストハウスがやれたらいいな。日本家屋をリフォームして、パフォーマンスが好きな人や旅人の交流の場になるような場を作れれば、嬉しいですね。