ゲストは、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 後期博士課程 金子智紀氏です。
慶應大学井庭崇研究室と認知症フレンドリージャパンイニシアチブが共同で進める研究プロジェクトである、認知症とともによりよく生きることを実践する工夫をまとめた冊子「旅のことば」 について、 作成の背景から国内外での実践など5年間の活動やその後の活動についてのお話をしていただきます。是非、ご参加ください!
目次
講師プロフィール
【金子智紀氏プロフィール】
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 博士課程、井庭崇研究室所属。
NPO法人MOTTAI理事、および、公益財団法人認知症の人と家族の会神奈川県支部会員、日本認知症国際交流プラットフォーム編集員を兼任。『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』(丸善出版、2015:オレンジアクト認知症フレンドリーアワード2015大賞、2015年グッドデザイン賞を受賞)の作成に関わる。
その後、一般社団法人認知症フレンドリージャパン・イニシアチブに加わり、日本全国各地を回りながら、『旅のことば』を用いた対話の場を開催し、現場での活用に関する研究を行う。
2015年から、2020年まで、NPO法人認知症フレンドシップクラブの本部スタッフとして、RUN伴や、beOrange認知症まちづくり基金、認知症多世代まちづくりプロジェクトなどの企画、運営に関わり、まちづくりの観点から、認知症になっても変わらない暮らしができる社会の実現を目指し活動する。
・慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 博士課程
・NPO法人MOTTAI 理事
・公益財団法人認知症の人と家族の会神奈川県支部会員
・日本認知症国際交流プラットフォーム 編集委員
・一般社団法人認知症フレンドリージャパンイニシアチブ「旅のことばプロジェクト」メンバー
2019年8月、マレーシア・クアラルンプールで開かれたADI(国際アルツハイマー病協会)アジア太平洋地区の会議(マレーシア会議)にて、初めての取り組みである「ユース・エンゲージメント・プログラム(YEP)」と名付けられたプログラム(認知症の人のケアを各国の若者で共有し、若者が地域に深く関与することが目的)で、日本の他、インドネシア、ブルネイ、マレーシアの若者たちが、これまで自分たちが取り組んできた認知症対策を発表しました。
そこで発表をした金子智紀氏のマレーシア会議のレポート(2019.10)を一部ご紹介。
●金子智紀氏のレポート●
印象に残ったのは、「認知症」という呼び方について。
各国の参加者から「日本のように我々も本人の尊厳を尊重した名称に変えていかないといけない」と言われたことです。
「認知症」という呼称がふさわしいのかどうか、という議論もあるでしょうが、日本が行った変革やそのための活動が評価されていることに驚きました。
「認知症の人にやさしいまちづくり」の分野では、各国で様々な取り組みが続けられています。ところがキャンペーン的な取り組みで終わってしまっているものが多く、若者を含めた一般人や当事者の参加が進まないことを訴える発表者がいました。
介護者の負担をどうやって軽減するか。どうやって自分たちの活動を知ってもらうか、といった活動の発表が多かったという印象です。
2020年3月にシンガポールで開催されるADI国際会議でもぜひ発表したいと思っています。
2年前に京都であったADI国際会議にも参加しましたが、このときは国内のことを考える視点しか持てませんでした。
今回、いつも日本国内での活動を海外で発表することで、自分たちにとっても良い気づきがあることがわかりました。
国ごとに認知症対策の前提が違い、認知症の人にやさしいまちづくりの段階も違います。違うからこそお互いに学び合うことができると思います。
「認知症」という人類共通の課題について、現地ではたくさん意見交換ができました。日本の情報を、こうした国際会議などで発信することは、間違いなく世界がより良い方向に進んでいくために必要だと確信しました。