新しい寄付と不用品販売のカタチ~地域経済循環型サービス「キフオク」

2019年2月にスタートした新しい地域経済循環型サービス「キフオク」。地域住民の不用品や遺品をオークション代行し、その売上の一部を地域活動に還元するというサービスです。なぜこのサービスが生まれ、現在どんなものが売れているのか?いろいろな疑問を駅前通り商店会にあるジャズバー「ROLLINS」のオーナーでもある合同会社キフオク社長の近藤優さんにぶつけてみました。

「キフオク」のサービス内容を教えてください。

青葉区を中心に、地域住民の方が所有している不用品や遺品をお預かりして、Yahoo!オークションや骨董市、eBay(世界最大級のオークションサイト)などで販売します。そして、送料などの必要経費を除いた売上の30%は事務局でいただきますが、70%はお客様にお返しします。

最大の特徴は、その70%の売上を地域で活動している団体に寄付できることです。寄付の比率はお客様自身で決めることができて、全額寄付しても、全く寄付しなくても構いません。

どのようなものを販売してもらえるのですか?

骨とう品、家具、家電、おもちゃ、お酒やその空瓶、通販で買ったトレーニング機器など、幅広く対応していますが、現在洋服だけは売りづらいのでお断りしています。その物によって、高く買い取ってくれる業者にお願いしたり、オークションに出品したりします。中には海外に売ったケースもありますね。

どのような活動団体に寄付ができるのですか?

現在認定している地域団体はコミュニティカフェの「3丁目カフェ」、街の景観整備を行っている「100段階段プロジェクト」、住民のたまプラの街についての思い出を冊子にまとめている「街のはなし」、多世代が集まってパフォーマンスを行う「たまプラ一座まちなかパフォーマンスプロジェクト」、エコをテーマにした地域メディア「森ノオト」の5団体です。

それに、近々終活サポートを行っている「こがも会」と、ワイズリビングラボで毎月開催されている「わっしょい!落語会」の2団体も加わる予定です。街を盛り上げる活動を行っている団体に寄付しようというのは一貫しています。

寄付先の団体はどのように選定しているのですか?

キフオクの運営委員会というのを設置しておりまして、そこで選定の仕組みを現在作っている最中です。運営委員会はたまプラーザ駅前通り商店会会長の小松さん、美しが丘四郵便局長の小池さんなど、地域に詳しいボランティアの方で構成されており、そこでその団体が寄付の対象にふさわしいかを判断していきます。

街のために活動していることはもちろんのこと、彼らがつながっている住民の方達の属性や、キフオクのPRを積極的にしてくれるかどうかというのもポイントです。

お客さんは寄付をする際に団体を指定せず、「適当に分配してください」というケースがとても多いので、各団体には何もしなくてもそれなりの活動費が入ってくることになります。「タダ乗り」の団体が増えてしまうのは避けたいので、相乗効果がある団体に限らせていただいています。

寄付金はゆうちょ銀行で管理し、4半期に一度地域団体に分配しています。


キフオク運営委員会のみなさん

営利団体でもいいのですか?

寄付金の用途が地域住民のためであればOKです。例えば、3丁目カフェは、寄付金で健康祈願のお地蔵さまを作りたいそうです。用途が明確の方が寄付する方も納得感があると思いますし。

各団体の活動はFacebookで報告して見える化していきます。寄付型クラウドファンディングの新しい形ですね。

実際みなさんどれくらいの割合で寄付されますか?

ほとんどの方が全部寄付されます。金額に関わらず、もともとそのつもりでお願いした、という方が非常に多いですね。


個人宅から預かって来た不用品。お宝がいっぱい!

なぜこのサービスを立ち上げようと思ったのですか?

もともとカメラなどの転売事業に興味あったんです。でも、転売には資金が必要ですよね。そこで、原価がかからないもの、と考えた時に「不用品や遺品だ!」と思いつきました。でも、「もしいらないものあれば代わりに売りますよ」というスタンスだと誰も来ないですよね。そこで地域の人がお願いしやすい仕組みにしたらいいのでは、と思ったのです。

もともと育ちがたまプラーザ・鷺沼周辺で、地域に貢献したいという思いは強く持っていました。でも、店をやっていると、地域活動に参加する余裕がなくて、歯がゆい思いをしていました。そこで、ボランティアではない形で地域に貢献する方法を考えたのです。

このサービスをすることで、地域の人にも、街の活動の盛り上げにも役立つことができます。地域の経済循環に貢献できるすべてがWINの仕組みです。これをお話したら、さきほどの運営委員会の方々が賛同してくださり、実現することができました。

実際優さんが家まで来てくださるのですか?

そうです。ROLLINSに持ち込みもOKですが、直接家まで行くのが好評です。みんな「これはどうかしら?」と言って次から次へお宝がでてきます(笑)

旦那様が亡くなって、価値がわからないものがいっぱい家にある方や、引っ越しをきっかけにという方は特に量が多いですね。

売れなさそうなものや、すごく安いものはその場でお断りして、売れそうだったものは引き取ってリスト化します。

先日は大きなスピーカーや遺品関連が約60万円で売れ、半分を寄付しました。他にももう聞こえないレコードプレーヤーが25,000円で売れたり。

対象の地域はどのあたりまでですか?

基本は青葉区周辺ですが、ものによっては地方出張もOKです。今度石川県に蔵を見に行くかもしれません(笑)何があるのか、今からワクワクしています。


「キフオクには大きな可能性がある」と言う合同会社キフオク代表の近藤優さん

今後どういう展開を考えていますか?

現在ボランティアバンドAOBA(Authentic Oldies Brass band Association)の立ち上げを考えています。地域ケアプラザなどで演奏をして、ROLLINSに来られない方々に生バンドの音をお届けしたいです。そこで、キフオクのPRもできればと思っています。

また、青葉区をモデルケースにして、他のエリアにも営業をしにいきたいですし、お宅にお邪魔するので、便利屋としての可能性も感じています。木を切っていたり、引っ越しの見積もり、不用品を回収したり。いろいろな事業をしているところと提携していきたいですね。

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