地域で支え合う互助共助の仕組みを!たまプラーザみまもりあいプロジェクト始動!

社団法人セーフティーネットリンケージが開発した、スマホアプリ(最大の特徴は、個人情報を保護した状態で家族が直接協力者に探索依頼ができ、発見した際、お互いの電話番号が非表示の状態でご家族と連絡が取り合える日本初の技術。アプリは協力者、ご家族ともに無料)およびステッカー(有料)を活用した『みまもりあいプロジェクト』のたまプラーザ版「たまプラーザ・みまもりあいプロジェクト~やさしさのエネルギーチャージ~」を、たまプラーザの在住・在勤の有志で2019年6月に結成、「みまもりあえる街づくり」を目指し活動を開始しました。


増え続ける認知症

見守り合える街作りの第一歩として最大の課題である認知症一人歩き問題です。

「2025年 MCI(軽度認知障害)を含む認知症予測数=1300万人」「2018年 認知症ひとり歩き(徘徊)行方不明届出数=1.7万件」といったデータが示すように、認知症による徘徊は今後も増え続ける予測です。

自ら体験した認知症のリアル

今から約30年前、夫の両親が既に他界していたこともあって、義理の祖父母との同居から私の結婚生活はスタートしました。そして、4年を過ぎた頃、義理の祖父がアルツハイマー型認知症を患い介護をすることになりました。その頃は、世間一般の認知症に対する偏見や、「認知症になったら終わり」といったような誤ったイメージから、周囲に偏見を持たれると思い、家族が認知症を患っていることを隠す傾向にありました。

辞書で「痴呆」を調べてみると言葉の意味として「愚かなこと。愚かな人。」と書かれています。その事から認知症を患った方が世の中から偏見の目で見られていたことが想像できます。偏見を払拭しようとする世間の動きのひとつとして、2004年に「痴呆」から「認知症」に呼称が変わりました。

私の家族も例外ではなく、義理の祖父の自尊心を傷つけないということもありましたが、周囲の人に義理の祖父が認知症を患っていることを知られることは嫌だと、周囲に気がつかれないよう、義理の祖父の行動も制限し、
なるべく家族以外の人と会わせないなどして隠そうとしました。ある程度の身の回りの世話は、義理の祖母がしてくれてはいましたが、当時は、今の様に地域包括支援センターなどという相談機関もなく、ネットも普及しておらず、情報を得ることも難しい状況だったので、3歳と生後6カ月の子育てをしながらの「頼れない介護」は、心身共に負担の大きなものでした。


認知症の症状が進んで徘徊をするようになった義理の祖父を病院に連れて行き、子供がぐずってあやしていると、横に座っていたはずの義理の祖父の姿がなく、広い病院内や病院の周辺を2人の子供を連れて探しまわるということはよくある事でした。

それに加え、夜中の3時ごろになると、義理の祖父が一番輝いていたであろう頃の制服を着て、家から出てどこかに向かって無心に歩くということもよくあったので、物音にも敏感になり、ぐっすり眠れないこともしばしばでした。

そんな自分がおかれている状況に苛立ち、感情をコントロールしにくくなり義理の祖父や家族に冷たくあたったり、時折、義理の祖父が「わしは、あかんようになった。」と呟き肩を落として溜息をつく姿を目にして、「おじいちゃんも、これまでの自分と今の自分との間で葛藤してるんやな。辛いんやな。」と冷たい態度をとった自分を反省したりを繰り返す日々を過ごしました。

私が医師から義理の祖父が認知症であると告げられ、それを家族に話すと、近い家族ほど、義理の祖父はなんともないのに私が『認知症にしたがっている』と攻めたてられ家族関係が崩れてしまいました。認知症に対する偏見は少なくなってきてはいますが、この頃の私のように、認知症と向き合って介護をしようとしている人やご本人は辛い思いをするといったような事が、今もまだあるのも現状です。

GPSは万能ではない

また、技術が進歩して、携帯電話をほとんどの人が持つようになり、一般の人でもGPS(グローバル・ポジショニング・システムの略で・全地球測位システム)というシステムで位置情報取得することが出来るようになりました。この機能のある携帯を持たせていれば、認知症を患った方が徘徊したとしても、直ぐに探せるのではないかと思われている方も多いです。私も最近までそう思っていました。

しかし、ある認知症を患っていらっしゃる方のご家族が、散歩に行くと言って出たまま夜になっても帰ってこないので、GPS機能のある携帯を頼りに居場所を探すも分からない、携帯会社に電話をして探してもらうように頼んでも、契約上のことで出来ないと言われたことがあったそうです。その後、警察に捜索依頼を出しましたが、時間の経過とともに心配は大きくなり、個人情報を公開しSNSを使って捜索を依頼されました。その時に、SNSで捜索に協力する人達がそこに書かれたメッセージなどを読んで、私は、どんなに技術が進んでも、やはり人の力は大きいと感じました。

このような経験から、たとえ認知症を患ったとしても、どこかのCMであったように「それがどうした。」と周囲が理解を示し、ご本人も、その家族も、その人らしい暮らしがおくれるよう、地域で支え合う互助共助の仕組みが必要だと思ったのです。


地域で支え合う互助共助の仕組みを

人口減少、核家族化、まもなく迎える超高齢化社会、このような状況を乗り越えるには、地域で支え合う互助共助の仕組みが必要です。けれど、ひとり歩き(徘徊)の問題は、個人情報の問題が壁となり、地域レベルでの解決が難しく、社会問題化しています。

個人情報を守るために自治体等が仲介して対応にあたるため、「業務時間外」や「土日祝日」の対応ができていない、行政経由のメールによる捜索依頼は写真掲載されていないことで住民の協力が簡単に得にくい、徘徊の範囲は自治体の行政区間をまたぐため、広域の見守り連携がうまくできていない、など現在の見守り体制は有効に機能していないのが現状です。


高齢者だけでなく迷子も捜せるアプリ

みまもりあいプロジェクトで使用するアプリは、個人情報を守りながら、気軽に捜索依頼を出すことができるのが大きな利点です。家族の中には警察沙汰にしたくない、大ごとにしたくない、という気持ちから「警察の捜索願」や「行政のネットワーク」を使用するのをためらう人もいます。しかし、みまもりあいアプリであれば、気軽に捜索依頼を出すことができるため、家族の方の心理的負担を軽減できます。また、アプリが普及すれば多くの人が捜索に協力をしてくれるため、早期発見の可能性も高まります。それにより、認知症を患った方の行動を制限するのではなく、地域のみんなでその人らしい活動的な生活を支えることが可能になります。

そして、みまもりあいアプリは、高齢者に限らず、誰でも登録することが可能なため、迷子を捜すことも出来ます。たまプラーザ駅周辺には休日多くの人が集まりますが、そのため、迷子になるお子さんも後を絶ちません。しかし、商業施設では受け付けてくれない場合もあり、発見に時間がかかることも多いという声が上がっていますが、万が一子供とはぐれてしまった時の親御さんのセーフティネットの1つにもなります。


楽しいイベントを通じて見守りあえる街づくりを

私達、「たまプラーザ・みまもりあいプロジェクト~やさしさのエネルギーチャージ~」は、このアプリの強みである「発見することだけではなくて、簡単にみんなが参画できて助け合えるツール」となっている点を活かし、誰もが見守りあう関係を『みまもりあいアプリとイベントと子供達の笑顔』で作る『かくれんぼスタンプラリー(模擬訓練)』を開催します。

子供を中心とした全世代が楽しく参加出来る企画で、いろんな世代同士、地域の団体同士との横の関係を創出するとともに、福祉への取り組みに参加ハードルが高いと感じる若い世代や、見守られることに抵抗を感じる高齢者にも参画いただけるようにして、地域交流のためのつながりの場の提供と、アプリ登録者の拡大に努めます。

また、アプリを利用して住民主体で見守りを行うことにより、当事者になるまでどこか他人事だった認知症に対して、自分事として考えて取り組む事で、住民の互助を育み、お互い様と『みまもりあえる街づくり』を加速します。「探して!とお願いする人」と「探す人達」は同じ地域住民という点からも、お互いが、自分が困った時の為に、この仕組みを通じて繋がっている事を実感し「この街に住んで良かった、安心できる街だ。」とお互いに思えるようになると考えています。


【捜索協力支援】みまもりあいアプリ

「スマホ」と「ステッカーに記載されている個人識別IDとフリーダイヤル」を使用し、アプリをダウンロードした周辺地域の協力者に「捜索依頼」と「捜索者情報」を送ることができる捜索協力支援ツールです。

協力者のスマホには捜索依頼と捜索者情報(探してほしい方の情報)がプッシュ通知で知らされるので、地域ネットワークによる早期発見が期待できます。捜索者情報は自由に設定が可能です。写真の掲載有無や呼び方や特徴や伝えておきたいこと等の記載が可能となっております。

また協力依頼をする捜索範囲も半径500m~20㎞の範囲で設定することができます。会員メンバーに配布されるステッカー記載ID番号とフリーダイヤルを活用することで、本人を特定化される個人情報を保護した状態で協力者とやり取りが可能です。無事発見された際には、発見ボタンを押すことで、全ての協力者にお礼通知が配信され、「捜索者情報」は自動消去される仕組みとなっています。アプリ利用料は無料です。

【緊急連絡支援】みまもりあいステッカー

認知症等一人歩きによる迷子対策はもちろん、外出時に体調急変や万が一の事故が心配な方への緊急連絡対策としてご活用できます。財布やカバン、携帯、衣類、靴、帽子等につけて、万が一の際に発見者がステッカー記載のフリーダイヤルに電話をして記載ID番号を入力すると、個人情報を公開することなく事前登録されたご家族の電話番号に直接連絡することができます。

事前登録する電話番号は2回線まで登録が可能(特許技術を活用)で、1番目の電話番号が不在、圏外、電源オフの場合は、2番目に登録した電話番号に自動で再転送される仕組みにより、関係者との連絡が取れる可能性を高めます。発見者が個人の情報を保護した状態で直接連絡できるため、幅広い範囲で使え、大切な持ち物にステッカーを貼ることで、万一紛失した際も落とし物として交番や交通機関から連絡を貰えるなど「落とし物対策」としても活用ができるので、高齢者の方はもちろん、小さなお子様にも役立ちます。


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