NPO法人 アロハグレイス 林千絵さんに聞く・前編

様々な形でフラの楽しさを伝える活動を行うNPO法人アロハグレイスの代表を務める林千絵さん。どのような思いでアロハグレイスの活動を行っているのか、お話を伺いました。

前編はアロハグレイスの活動内容について語っていただきました。

NPO法人 アロハグレイスの活動内容を教えてください

2012年からケアホーム、デイケアサービスなどの高齢者施設を訪問し、フラダンスのレッスンをしています。フラダンスがこういった施設へ行く場合には、フラダンスの踊りを見ていただく慰問という形が一般的です。しかし、私たちは「参加型のレッスン」ということにこだわっています。フラダンス教室に足を運べない方達のために、教室と同じような形でフラを教えています。ハワイ語や歌などのコーナーで一緒に楽しんでいただき、最後には私たちの踊りもご覧いただくなど、盛りだくさんの内容です。

高齢者施設でのレッスンは毎回大盛況。回ごとに参加者が生き生きとしてくる。

1つの施設に定期的に通っているのですか?

現在は、各施設に月1回、定期的に通っています。一般的に高齢者施設での定期的なレッスンというと、リズム体操などが中心なのですが、それだと半年程度でプログラムが終了してしまうのです。そこで、ある程度目標を設定して、毎回ちょっとずつでも覚えてもらい、レベルアップしてもらうことを心がけています。歌だけ、踊りだけ、楽器だけでもお楽しみいただけますし、衣装も魅力的に感じていただけるようで、毎回60~70名集まっていただけます。歌と手話がつながっているので、それも興味を持っていただける一因だと思います。レッスンが終わった後も、高揚した気分で、さらに踊っていらっしゃる方もいます。

フラを通じて、心も体も元気になっていくのですね!

私達は、「ケアフラ」と呼んでいますが、フラを通じて足腰を丈夫にしてほしいと思っています。親しみやすいように日本の懐かしい曲を多く使っているので、まずは歌から参加いただくのもいいですね。先日デイサービスの方にお話を伺ったところ、フラダンスの慰問はあまり反応がよくない、という話もありました。しかし、私達は「見せてあげる」ではなく「一緒にフラを楽しむ」というスタンスをとっていますので、それでご満足いただけているのだと思います。


林さんはアロハグレイスの活動を通じて、フラの間口を広げたいと言う。

場所がフラダンス教室か施設かの違いというだけなのですね。

そうです。もともと私は、人生の先輩に対して、子供のように「むすんでひらいて」をさせる、というようなことに疑問を感じていました。そうではなく、もっとリスペクトの気持ちを持って大人の生徒さんに対するのと同じようなレッスン、同じ楽しさを施設でもみなさんと共有する、という考え方で行っています。誰に対しても同じスタンス、その思いはどのスタッフも一緒です。
実は、アロハグレイスはもともと、大好きなフラで社会に貢献したいという思いで、マハナフラスタジオの生徒さんが始めた活動で、現在も生徒さん中心でやっています。非常にパフォーマンスのクオリティが高いですし、高齢者の方に着ていただく衣装は、彼女たちがステージで使った衣装です。長年の生徒さんが訪問先を紹介してくれたりもします。

子供たちに向けた活動もしているのですよね。

ダウン症のお子様とその親御さんに向けたレッスンをやっています。こちらも高齢者向けと同じく、どんな方にでもフラができる機会を提供したい、という思いで始めました。特に、親御さんに子供と一緒に楽しめる時間を作ってあげたいと思っています。
「武蔵野ひまわりの会」というダウン症のあるお子さんとご家族の会への出張レッスンを、また障がいがあるお子さんとご家族の会「ハマヒアポ」さんには月2回のレッスンを開催しており、親子で、1620円で参加できます。リピーターの方がとても多く、毎回約10組20名が参加しています。ワーキングマザーの方が多いので、基本的には日曜日に開催していますが、今後、開催できるエリアをもっと増やしていきたいですし、小さいお子さんがいる親子を対象に、平日もやっていきたいですね。イベント予定はFacebookに掲載されていますので、ぜひご覧ください。

子供だけではなく、親子でやるのですね。

親子でやることが重要なのです!障がいがあるお子さんのお母さんは育児に精一杯で、最初は「私もやるんですか?」というリアクションが多いです。でも、実際にフラをやると、お母さんがとてもフラを楽しんで変わっていく、とてもキレイになるのです!お母さんが変わると子供も変わっていきます。最近障がいのある子供を預かる形のサービスが多いですが、アロハグレイスは「親子で一緒に楽しむ」(または、「親子で一緒に挑戦する」)ことにこだわっています。お母さんが必死だと子供も必死になる。それがいい親子関係を育んでいきます。ダウン症のお子さんは、身体が柔らかくて、しっかり立てない子も多いのですが、フラをやっているうちに、最初立てなかった子が立てるようになることもあります。
今は、子供の放課後デイサービスにアプローチしています。学童から習いごとに行くような形をとれないかな、と。平日は子供だけでプログラムに参加し、週末は親御さんも参加して楽しみを共有する形ですね。


親子で一緒にやり、親が変わることに意味がある、というのがアロハグレイスの考え方だ。

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