• 投稿日2018.2.6
  • 更新日2021.12.3

リビングラボ勉強会参加レポート・前編~Wise Living Lab

横浜市と東急電鉄が推進する「次世代郊外まちづくり」の情報発信や活動拠点となる施設「WISE Living Lab(ワイズリビングラボ)」。でも、そもそもリビングラボってなんなのでしょう?2018年1月26日に開催された「リビングラボ勉強会Vol.2」で勉強してきました!

前編はデンマーク工科大学の安岡さんによるデンマークの事例の話を中心にお届けします。

まずは横浜市よりご挨拶

行われたのは、WISE Living Labの共創スペース。いつもは△のかわいい机と椅子がゆったりとならぶスペースですが、この日は椅子がぎっしり。出席者は40名ほどに見受けられました。

司会を務めるのは石塚デザイン計画事務所の加藤さん。この会社は、まちづくりのプロとして、次世代郊外まちづくりに関わっています。

最初に、横浜市住宅再生課の小林さんからご挨拶がありました。

<小林さんのお話要約>
横浜市では住宅地の再生、特に郊外住宅地の在り方を考えています。たまプラーザ(美しが丘1~3丁目)をモデル地区として、2012年度から6年間、次世代郊外まちづくりと称して、急電鉄といろんな取り組みをしていました。これまでの取り組みをとりまとめた冊子「次世代郊外まちづくり通信」もぜひご覧ください。

将来的には、ここでの成功事例を、青葉区内はもちろん、横浜市全体に展開していきたいと考えています。これを大きな取り組みにしていくためには、行政・企業・住民が連携して進めていくことが大事です。今回の勉強会はその一環で、リビングラボは難しいですが、皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。

北欧から学ぶ街づくり

最初の講義は、「北欧のリビングラボ~市民参加のカタチ」。デンマーク工科大学の安岡美佳さんより、リビングラボが果たすべき役割と、北欧でのリビングラボの取り組みについての紹介がありました。

安岡さんによると、リビングラボの定義は、「多様なステークホルダーが集う参加型の場で、最先端の知見やノウハウ技術を参加者から導入し、オープンイノベーション・ソーシャルイノベーションを通して、長期的視点で地域経済・社会の活性化を推進し、社会問題の解決を志向していくための仕組み」のことだそうです。なんだか難しいですね。。。

この後、これをかみ砕いた説明があり、リビングラボの3要素として「住民/当事者が参加」「考えが変わる場」「皆で一緒に未来を作る場」があげられました。つまり、住民をはじめとする街に関わる人達が、いろいろなことを学びながら、自らの手で街をよくしていこう、ということですね。

リビングラボの特徴は、「日常生活の一部」「住民の自分ゴト」「長期的視点」「コミュニティ学習」の4点です。デンマークではこの4つを踏まえたさまざまな取り組みがされています。

そして、リビングラボを進めていくに「可視化」「参加型デザイン」「デザインシンキング」「コミュニティ学習」のツールボックスが効果的とのこと。特に可視化は非常に重要で、レゴやIKEAの設計図にように誰が見てもわかることはもちろん、成果を可視化して参加者のモチベーションをあげることも必要だそうです。例えば、デンマークでは、移動手段を車から自転車にスイッチさせるため、自転車の通った台数を表示するカウンターが設置されているそうです。

デンマークの事例はどれも素晴らしいものですが、同じものが日本で有効に働くとは限りません。「トップダウン」「ボトムアップ」「ハイブリッド」のように、それぞれのローカルにあったやり方をそれぞれのリビングラボが模索していくことが重要だそうです。日本の中でも横の連携をしながら、それぞれのリビングラボを成長させていくことが必要というお話で、安岡さんのお話は締めくくられました。

デンマークの街づくり事例

安岡さんから紹介された事例の中から印象的だった5つの事例を紹介します。

事例① 瓶・缶のリサイクル
日本でも一部取り入れられているデポジット。缶や瓶を返却するとお金が返ってくる仕組みですが、なんとこの容器の値段が約50円上乗せで売られているそうです。そして、街中にある設備で金券に変換可能で、簡単にお金になるので、自主的に缶や瓶を拾っている人も出てきているそうです。住民の力を借りながら街がきれいになる仕組みができているわけですね。

事例② パーティション活用
デンマークでは、テロ対策のため、コンクリートのパーティションが多くなっています。これは街の景観的にはあまりよくないものですが、住民が自らそこにポスターを貼ったり、ペイントをしておしゃれにしたり、テーブルを設置してアイスクリームスタンドを作ったり、といった活用方法を考えているとのこと。景観が台無しになる、と憂うのではなく、住民がこれを活用すべきかを主体的に考えているという事例ですね。

事例③ 昔の暮らしから学ぶ
デンマークでは、昔の生活を体験するイベントが多いとのこと。オーデンセという街の一角では、昔の暮らしを再現しています。お店の雰囲気や商品はもちろん、カードやプラスチックバッグも使えません。また、バイキングまつりという広場でキャンプをしながら2週間自給自足生活をするイベントもあります。このように昔の生活を体験することで、現代の地域課題を認識したり、本質的に素晴らしいものとは何かということを学んだりしています。

事例④ デザイン幼稚園
外からいろんなアーティストを呼んできて体験させることに重きをおいた公立幼稚園。デザインシンキングを毎日の生活の中で体験させることで、想像力を育んでいます。例えば、飛行機の模型を作りたいとき、まずはイメージを膨らませ、絵にかいてみて、材料と仲間を集め、組み立てて色を塗るといったプロセスを意識しながら行います。こうして、小さいころから創造性を育て、コミュニティ学習の土台を作っているのですね。

事例⑤オーデンセ・ヘルスケア・イノベーション
大病院を作るにあたって、建物や医療プロセスを模索するために作られたリビングラボ。お医者さんや患者のグループの人など様々な立場の人がここを訪れて、新病院にどのような仕組みを導入すべきかなどを議論する場になっています。訪れた人は未来の医療の場を体感できるとのこと。議論のために建物1棟建てるというのは日本からすると信じられませんが、長期的視点で考えるとここで議論しつくすことが、未来をよくすることにつながっていくのですね。

中編を読む
前編を読む