たまプラーザを拠点に、模様替えコンシェルジュとして活動するインテリアコーディネーターの楠田恵子さんが、インテリアのコンシェルジュとして、ロコっちに参加してくれることになりました!今後、インテリアショップを中心に取材していきます。今回は、インテリアコーディネーターのお仕事の内容と、家づくりにかける思いを伺いました。
目次
現在のお仕事を教えてください。
お客様の理想とするライフスタイルを実現するためのインテリアを提案しています。
お客様から依頼があったら、まずはご自宅に伺って、どのような暮らしがしたいのか、どんなインテリアが好きなのか、予算はどれくらいかといったことをヒアリングします。その後、2週間ほどお時間をいただいてプランを作り、ご提案してOKが出たらインテリアを揃えるサポートをします。
楠田さんがコーディネートした部屋の一例。
どんな方が依頼されるのですか?
新居を構える方や、模様替えをしたい方です。まずは自分でやってみたけれどしっくりこない、子供の部屋があるけれどまったく使っていないので使えるようにしたい、自宅でサロンをやるためのスペースを作りたい、など事情は人それぞれです。ライフイベントをきっかけに依頼される方が多いですね。
プロに頼むとすごくお金がかかりそうなイメージがあります。
家具、ファブリック、雑貨、アートなどすべて含めた予算を伺い、それを目安にご提案します。プランニング費用は別途いただいていますが、コーディネーターを通すと、メーカーによっては何割か安く買える場合もあるので、かえってお得になる場合もあるんですよ。例えばどうしても10万円でなんとかしたいと言われたら、もちろんそれでプランニングしますが、もっと素敵にできる余地がある場合は、もうちょっと出せばここまでできますよ、という形で2パターン提案することもあります。
楠田さんのプランニングシート。模様替え後のイメージがわきやすい。
具体的にはどのようなアウトプットをいただけるのですか?
「このメーカーのこの色がいいですよ」というように超具体的に提案します。同じものであってもこちらのお店で買う方が安い、ネットで注文すべき、など購入方法もアドバイスしますし、今は自分で貼り替えられる壁紙などもありますので、DIYをお勧めすることもあります。膨大な数選択肢の中から選んであげる、というのがインテリアコーディネーターの仕事ですので、時間がない人、どうしたらいいかわからない人、自信がない人などに利用してほしいですね。
対象は個人だけですか?
店舗やオフィスなど法人や商用利用も対応できます。練馬区にある「東京ワイナリー」のコーディネートもチームで担当しました。
楠田さんがインテリアを担当した東京ワイナリ―の内装。家具だけでなく雑貨もコーディネートする。
ずっとインテリアのお仕事をされているのですか?
最初は全く別の仕事です。20代の頃はひたすら英語。大学が英文科だったので、新卒では銀行の調査部で翻訳の仕事をしていました。それと並行して通訳学校に通っていて、そのままその学校に転職。最終的には独立して通訳、翻訳、英会話講師などの仕事をしていました。中学の頃から英語が好きだと思って、ずっと続けてきたのですけど、ある時期それに疑問を持つようになりました。技術系の話を訳すことはできるけれど、話の流れは理解できなくて、疎外感を感じることもあって。結局英語を使ってやりたいことがなかったのです。そんな時、夫がイギリスに転勤になってついていくことになり、一旦仕事をすっぱり辞めました。
イギリス生活はいかがでしたか?
興味はあったけれどそれまではできなかったことをいろいろやってみました。イギリスは生涯学習が充実しているので、バレエ、フラワーアレンジメント、料理、歴史、アロマテラピーなど。これまで英語の勉強ばっかりしていたので、人生を取り戻した感じでしたね。
その時に、インテリアの講座にも出会いました。イギリスの人はインテリアを非常に楽しんでいて、DIYも盛んです。家をどんどん住み替えて、自分でリノベーションしていきます。
日本は壁紙基本的に白ですけど、イギリスはカラーや柄物の壁紙も普通だし、ファブリックも豊富です。そして、気軽に家に呼んでくれるので、知人の家に行って、そういったインテリアを目にする機会も非常に多かったですね。
イギリスの家の内装例。日本よりカラフルな色使いが多い。
そこからインテリアの道に進んだのですか?
直接のきっかけは日本に戻ってから、カーテン屋さんに行った時です。商品の話はほとんどしなくて、どういう生活がしたいかといったライフスタイルの話ばかりだったのが常に新鮮でした。コンサルティングセールスというのでしょうか、お客様の生活に寄り添った商品提案をする仕事ですね。この仕事がやりたい!と思って、そのお店がスタッフ募集していた際に応募したのですが、
インテリアコーディネーターの資格を持っている人を求めていると言われ、1年勉強して資格を取りました。
すごく急展開ですね(笑)
イギリスから帰ってきて、日本の家に違和感があったのも要因だと思います。殺風景にも感じましたし、友達になってもよほど親密でないと家に呼び合わないですよね。イギリスのノリで、家に誘うと、引かれたりして(笑)もっと家が社会に開かれていたら素敵だな、と思っていました。
そこから晴れてインテリアコーディネーターになったのですね
いえいえ、そんな簡単にはいかず(笑)最初は、別のカーテン屋に就職しました、しかし、
ファブリックだけではなく、コーディネートの仕事がしたくて、不動産会社の建て売り住宅部門に転職したのですが、その事業がなくなってしまって。リフォーム店で働いたこともあるのですが、リフォームの仕事は土日が中心で残業も厳しいので労働条件があわなかったのです。経験を積まないと就職できないけれど、就職できないと経験が積めない、というジレンマに陥り、インテリアコーディネートの実務を学ぶ「町田ひろ子アカデミー」に2年間通いました。単発の仕事をこなしたりしているうちに、今度は夫の転勤でジャカルタにいくことになりました。本格的にコーディネーターになったのは2年後に帰ってきてからですね。最初はホームステージング(売却予定の物件をモデルルームのようにコーディネートするサービス)の仕事をしていましたが、実際に住む人に合わせたサービスを提供したいと思い、独立しました。
お客様それぞれが理想とするライフスタイルに合わせて提案を行っている。
それぞれの人に合ったインテリアがあるのですね。
家の中ではとりあえずの家具を使っていて、旅先で素敵なホテルに泊まってリフレッシュする、みたいな方もいると思います。もちろん旅行のような非日常は大事ですけど、日常はもっと大事だと思うんです。年に1回の旅行を1回だけ辞めて、その時間とお金をインテリアにかけて、家が世界中で一番くつろげる場所になったらとても素敵だと思うのです。インテリアは人生を変える力を持っています。家を整えたら早く帰って寛ぎたいと思うし、家族との会話も増える。生活の質が変わると、人生の質が変わります。健康とインテリアも深い関係があるということも、だんだんわかってきています。
最近は片付けブームですが、ただ物を減らして殺風景な部屋に住むのでは意味がないと思います。どんな暮らしがしたいかということから真剣に考えて、その上で取捨選択していったほうが、効率がいいし、楽しいですよね。まずは片付けから、と言わず、ライフスタイルを考えるところから一緒にやっていけたら嬉しいです。