「隣の家族は青く見える」医療監修~産婦人科クリニックさくら 桜井明弘院長インタビュー・後編

1月18日(木)10時にスタートしたフジテレビのドラマ「隣の家族は青く見える」。不妊治療に挑む夫婦を中心に、様々な事情を持つ4つの家族のコーポラティブハウス(=入居希望者が集まり、土地取得から建設行為の全てを行う集合住宅)での生活を描いたドラマです。その医療監修を担当しているのがたまプラーザ駅徒歩3分、新石川2丁目にある、産婦人科クリニックさくらの桜井明弘院長です。どのような思いで医療監修をされているのか、お話を伺いました。後半は、桜井院長の不妊治療およびウィメンズヘルスケアに対する思いを語っていただきました。

不妊でなくても相談に行っていいのですね。

もちろんです。不妊治療は早ければ早いほどいいです。子供ができないと悩んでから来るよりも、妊娠を考え始めたときに来る方が、問題があったとしても簡単な治療で済むことが多いです。他にも例えば、風疹の抗体がないとわかった時、まずはワクチンを打ちましょうということになります。しかし、ワクチンを打つと2か月は避妊しないといけないのですね。切実に授かりたいと思っている人にとって、この2か月は非常に辛いものになります。

クリニックは不妊治療が中心なのですか?

不妊治療とウィメンズヘルスケアの2本柱で行っています。ウィメンズヘルスケアは、すべての女性に必要なことで生理痛や生理不順の悩みから、更年期障害からそれ以降のトラブルまで対応しています。不妊もヘルスケアも、早いうちに行動することが重要なので、歯医者さんのようにかかりつけ医を持っていただき、気軽に何でも相談できる環境を作っていただきたいですね。少なくとも1年に1回子宮がん検診を受けに来て、近況報告していただければと思います。

子宮がん検診の受診率は低いのですか?

法律で、自治体からの助成が定められていて、少なくとも2年に1回は無料で受信受診できるのですが、実際の受診率は4割程度と言われています。欧米は8割です。日本人は総じて、医療に対するリテラシーが低いですね。
それは、他の指標にも表れています。葉酸のサプリメントは、妊娠する前に飲むべきものなのですが、これも日本が4割、欧米が8割ですし、子宮頸がんのワクチンも副作用を恐れて打たない人も多いですよね。副作用は起こってしまった方は気の毒ですが、非常に確率が低く、打って予防できた方が将来的には絶対にいいです。これはマスコミが過剰に副作用を取り上げて煽っていることが原因の一つだと思います。医師はお金儲けのためにワクチンを勧めているのではなく、医学的観点から、自らが副作用のリスクを背負ってでも打つべきと主張しているのですから、ワクチンの有効性も合わせて報道すべきですすよ。これら は先進国として、考えられないことです。

日本人は検査や予防に対する意識が低いのでしょうか?

それはあると思います。また、悪いところばかりクローズアップする傾向がありますね。例えば、インフルエンザのワクチンを打ったけれども、結局インフルエンザにかかってしまったので、もう来年からは打たない、という話を聞きます。でも、ワクチンを打ってインフルエンザにかからなかった人は、「ワクチンを打ったからかからなかった、よかった!」という実感をあまり持たないですよね。

日本は不妊治療が多いのでしょうか?

日本は不妊大国です。これも日頃の検診率の低さなどが影響していると思います影響していると思います。しかし、NHKが卵子の老化を取り上げたりしたおかげで、初診の平均年齢は低くなってきています。早めに受診しようという意識の高まりはいい傾向ですね。
積極的に妊活するべきか、というのは個人の価値観なので、妊娠の可能性の検査や不妊治療について強要するものではないですが、「あと〇年早く治療を開始していれば」「もっと早く知っておけばよかった」という後悔はして欲しくないですね。

ドラマでもそういうメッセージは出て来そうですね。

そうですね。ドラマにはいろんな家族が同じ建物に住んでいますよね。子育てに命をかける主婦が中心の家族がいる一方で、妊活カップル、男性同士のLGBTカップル、子供がいらないカップルがいる。これは、現実にもあり得ることで、正しい認識とは何かというのを非常に考えさせられます。
私は、不妊であることをカミングアウトできる、隠さなくて済むような社会になればいいと思っています。現在不妊治療に通っている女性の9割は有職で、職場に気を遣いながら治療をしています。妊活のためにアルコールを控えているけれども、会社の飲み会で飲めないとは言えないと悩んでいる酒豪の女性もいます。妊活中であることを堂々と宣言して周りから共感してもらえると、気持ち的に非常に楽になると思います。

桜井院長はクリニック以外に、社団法人も運営されているのですよね。

美人化計画という一般社団法人を運営しています。さきほどお話したようなことを世の中に認識させてしてもらい、社会を変えていくのが我々の使命だと思っているのですが、医師が関われるのはどうしても患者さん1人1人に対してなのですね。そこで、多くの方に訴えられる場を持たなければならないと思い、美人化計画の活動を開始して3年になります。女性のQOL(Quality Of Life)の向上が理念です。

3月21日(水・祝)にメロンディアあざみ野でイベントを行うのですよね。

これまで20~30代の女性をターゲットとするイベントを中心に行っていたのですが、更年期障害をはじめとして40~50代の方も女性ならではの悩みは多いです。そこで、今回は「大人女性美人化計画」と題して、自分以外にも3人の専門家が登壇し、様々な側面から40~50代の女性に役立つ情報を提供します。
1人目は整形外科医の澤井先生。この年代の女性は、骨粗しょう症やサルコペニアのリスクと向き合うことは避けられません。2人目はスタリングカウンセラーの澤木さん。早見優さんやラサール石井さんのスタイリストも務めている方で、私も一度洋服選びをお願いしたことがあります。3人目は理学療法士の石井さん。理学療法のウィメンズヘルスケアではトップクラスの方です。理学療法というとリハビリのイメージが強いですが、加齢とともに起こる子宮脱(=子宮を支えている靱帯や筋肉が緩み、その結果、子宮が下がってくる病気)や尿漏れにも効果があるのです。

すごくたくさんの方が関わっている取り組みなのですね。

青葉区のドクターを中心とした、たくさんのドクターに賛同いただいています。応援団も募集していますので、ぜひご興味ある団体の方はHPをご覧いただければと思います。

蛇足ですが、桜井さんだから「産婦人科クリニック さくら」なのですか?

それもありますが、さくら(SACRA)には、聖なる地という意味もあるのです。「子供が生まれる聖なる地」なんですよ

関連リンク

産婦人科クリニック さくら
子宮美人化計画

番組概要


タイトル:木曜劇場『隣の家族は青く見える』
放送日時:毎週(木)午後10時~10時54分
キャスト:深田恭子、松山ケンイチ他
脚本:中谷まゆみ
主題歌:Mr.Children「here comes my love」(TOY’S FACTORY)
プロデュース:中野利幸
演出:品田俊介、髙野 舞、相沢秀幸
制作:フジテレビ第一制作室
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