第4回 「たまプラを彩る人々」美しが丘連合自治会会長 辺見真智子氏

  • 投稿日2026.9.23
  • 更新日2026.9.23

連載第4回は、美しが丘連合自治会で会長を務める辺見真智子さんにお話を伺いました。「自治会」は地域で広く馴染みがある一方で、「連合自治会」がどのような役割を担う組織なのかは意外と知られていません。今回はその知られざる団体像や日頃の活動内容、そしてこれからの街づくりに対する想いまで、じっくりとお聞きしました。

 

カッコよく、持続可能な街へ~「美しが丘連合自治会」10年の歩みと未来への挑戦 ~

プロフィール

辺見真智子(へんみ・まちこ)氏
長きにわたりたまプラーザの地域活動に関わり、2016年から美しが丘連合自治会の会長を務める。趣味はミステリー小説の読書、料理、ジグソーパズル。

行政と地域の絆をつむぐ「美しが丘連合自治会」の役割と取り組み

5,000世帯の総意を届ける!地域と行政の「最も太いパイプ」

ロコ:美しが丘の連合自治会とはどのような団体でしょうか?

辺見さん:横浜市は「連合自治会制」をとっており、青葉区内にある15地区(15連合自治会)のうち、美しが丘1〜3丁目エリアをまとめているのが「美しが丘連合自治会」です。23の単位自治会、あわせて約5,000世帯が加入する組織を束ねており、簡単に言えば横浜市や青葉区役所といった行政との「最も太いパイプ・連絡窓口」となっています。 

ロコ:個人や単位自治会が直接行政に要望を出しても、連合自治会を通さないと聞いてもらえないのでしょうか? 

辺見さん:決してそんなことはありませんよ。一市民であっても自治会長さんであっても意見を言う権利は当然ありますし、行政もそれを尊重してしっかり耳を傾けます。ただ、連合自治会は「地区全体の総意」を代表する立場にあるため、行政側としても一番重みのある大きなパイプとして位置づけている、ということです。

実際、毎月1回、区長をはじめとする行政幹部・警察・消防・土木事務所と、全連合自治会長が集まる会議が開かれています。そこでは連絡事項の共有だけでなく、地区の要望や質問を直接伝えています。 

ロコ:一大会議ですね!地域全体の声を背負うとなると、本当に大きな役割なんだと実感します。 

住民の絆を深める「年間5大行事」

ロコ: 美しが丘連合自治会の活動や、取り組みについて教えていただけますでしょうか?

辺見さん: 美しが丘地区は、いわば区画整理によってできた新しい街で、歴史のある神社や代々住んでいる地主さんのような地域活動の核になる存在が少ないため、どうしても自治会活動が低調になりがちです。 そこで連合自治会では、単独の自治会では対応しきれない地域共通の課題やテーマに取り組むことを大切にしています。 「防犯・防災」や「環境美化」、そして住民同士の「親睦」を通じた絆づくりが活動の軸です。「単位自治会ではできないことをやっていこう。」これが美しが丘地区の連合自治会の担うべき仕事の一つだと、私はずっと感じてやっています。

ロコ: 具体的にはどのような行事や活動を行っているのですか?

辺見さん: 主な地域行事は年に5つあります。9月の「盆踊り」、10月の「防災フェア」、11月の「美しが丘公園落ち葉清掃」、12月の「年末防犯パトロール」、そして3月の「桜まつり」です。 美しが丘連合自治会設立時から続く盆踊りでは、当初から踊り手サークルの「たま美会」や子どもたちの和太鼓サークル「美和太鼓」を立ち上げるなど、持続可能な仕組みが作られてきました。 自治会活動には多くの役割がありますが、お祭りなど子どもたちの心に残る思い出や住民の絆づくりがとても重要なことだと考えています。

11月の「美しが丘公園落ち葉清掃」

ロコ: 行事が秋冬にすごく集中していますね!

辺見さん: そうなんですよ(笑) 例年は7月末の盆踊りを今年は酷暑を避けて9月末にしたため、秋以降が連続していて気が休まりません。

地域を彩る「美しが丘公園愛護会」の取り組み

ロコ:「公園愛護会」の活動についても教えていただけますか?

辺見さん:美しが丘公園は特定の自治会に属していないため、連合自治会主体で「美しが丘公園愛護会」を運営しています。約20年前から、以前は何もなかったバス通り沿いなどに花壇を整備し、毎週土曜の朝に活動してきました。高齢化で存続が心配でしたが、今年若い会長が就任して一安心しています。通りかかる親子が喜んでくれる姿が私たち愛護会メンバーの励みです。

ロコ:美しいお花を楽しめるのは、温かい活動のおかげですね!

美しが丘公園バス通り沿いの花壇。美しい花々に癒されます

夢は「次世代へつなぐ」持続可能な自治会づくり

「楽しむ」から始まった地域活動

ロコ:辺見さんが地域活動に関わるようになった最初のきっかけは何だったのでしょうか?

辺見さん:平成12年、自分の所属する美しが丘中部自治会で班長の順番が回ってきた際、役員決めの会議を欠席したら「辺見は中学生のお子さんがいるから」と青少年指導員(以下、青指)に推薦されたのが始まりでした。以前に班長になった時は「なんとなく役が回ってきたから」といった思いでしたが、青指で素晴らしい方々と出会ったこともあり、「貧乏くじ」とネガティブに捉えず、ボランティアなんだから自分から楽しんでやろうと積極的に活動に取り組みました。

ロコ:青指ではどのような活動をされたのでしょうか。

辺見さん:まずは「青指って何?」という知名度を上げるチラシ作りから始め、ウォークラリー(美しが丘ウォーク)ののぼりの制作など、新しい取り組みを次々と立ち上げました。当時は素人の恐ろしさと言いますか、とにかく夢中でやりましたね(笑)

編集の仕事をしていた経験を生かしてチラシや企画書を作成し、みんなに助けられながらアイデアを形にしていきました。そうした熱心な動きが当時の連合役員の目にとまり、連合自治会へ入ることになったんです。

ロコ:まさに才能とやる気を買われての“スカウト”だったわけですね!青指と連合の両立は大変だったのではないでしょうか。

辺見さん:青指は結局16年も続けましたから、一時期は両方の活動を掛け持ちしていて大変でした(笑)私自身、平成28年から連合自治会長を務めており、翌年には、またまた班長が回ってきて、その時は単位自治会長(中部自治会長)も務めさせていただき、住民目線の課題解決にも向き合ってきました。気づけば連合会長に就任して今年で10年になります。

ロコ:10年もの間、先頭に立って引っ張ってこられたのですね。これまでを振り返って、今後へ向けてはいかがですか?

辺見さん:試行錯誤や悔しい思いもありましたが、仲間と魅力ある地域づくりを目指して走り抜けてきました。今は自分が退いた後も組織が回るよう、次の世代へ引き継ぐ仕組みづくりに取り組んでいます。時代の変化に伴い「負担軽減」が求められる今だからこそ、誰もが「あの楽しいイベントの運営に参加したい!」と思える持続可能で魅力的な自治会を残していくことが、私の夢のひとつですね。

美しが丘連合自治会会長 辺見真智子氏

「負担軽減」と「クオリティ」の両立

ロコ: コロナ禍を経て、行事のやり方にも変化があったのでしょうか。

辺見さん: そうですね。コロナ以降は「負担軽減」が大きなテーマとなり、現在は「イベントはコンパクトに。クオリティは高く」を方針としています。特に、役員や運営側の負担を考慮し、PTAなど他団体に対しても無理な動員をお願いすることはやめ、一般来場者として気兼ねなく楽しんでもらう形へシフトしました。

ロコ: 役員の方々のご苦労も多そうですね。若い世代の方もいらっしゃいますか?

辺見さん: 今年度の役員は50代から80代の12名です。自治会組織全体として高齢化や加入者減少、自治会を支える班長さんの負担感など、時代にそぐわない面も増えてきました。そこで今、力を入れているのが「自治会DX」です。従来のやり方からの切り替えに苦労もありますが、時代に合わせて少しずつ変革を図っていきたいと考えています。

ロコ: 時代に合わせたデジタル化などの裏側の工夫があってこそ、持続可能な活動になっているのですね。

時代に合わせた発信への挑戦と、商店街と育んだ絆

ロコ:会長として今直面している課題や難しさはどんなところでしょうか?

辺見さん:一番はやはり、魅力ある活動と「負担軽減」との両立です。本当は手作りの温かい料理を振る舞って交流を深めたいのですが、準備や道具の手間を考えると簡単ではありません。そこを省きつつどう盛り上げるかが課題です。もう一つは「広報・周知の方法」ですね。ホームページは元々関心がある人しか見ませんし、Instagramも役員陣には馴染みが薄く、どう活用していくか悩ましいところです。

ただ、この街の地域活動には大きな「強み」もあります。新興住宅地だからこそ、全員で対等に意見を出し合える非常に民主的な組織文化が根付いています。そしてもう一つの誇りは、地元の3つの「商店街」と素晴らしい関係性を築けていることです。

美しが丘では、私が役員になった頃から積極的に商店街の会長さんたちを回って対話の機会を作ってきました。当時も今も商店会長の皆さんは街の活性化を常に考え、視野が広く知的でリスペクトできる方々で、17年前に「桜まつり」を立ち上げた際も強力に連携できたんです。横浜市内でも珍しいと言われるこの良い関係性は、私の自慢であり誇りですね。

ロコ:人と人をつなぎ、対等で風通しの良い街を作り上げてこられたのですね。

17年前から始まった「たまプラーザ桜まつり」

10年を共にした「仲間と飲むビール」が最大のやりがい 

ロコ:特に印象に残っていることや「やりがい」を感じる瞬間はありますか?

辺見さん:実は「これが特に」という特定の出来事や大きなやりがいというものは無いんです(笑)それでも10年間続けてこられたのは、イベントが終わった後に役員メンバーと「無事に終わったね」と一緒に飲むビールが何より美味しかったからですね。この10年、副会長はじめ多くの役員の方々が、私のようなものにずっと付き合ってくださいました。怒りもせず長年支えてくれた仲間の存在こそが、一番ありがたくて嬉しいことですね。

ロコ:とても素敵な関係性だと思います。

「お互いを気にかける意識」を育む未来へ

ロコ: 街への思いや展望、これから目指すべきビジョンや未来についてのお考えをお聞かせください。

辺見さん: 住民のライフスタイルが変化する中で未来を予測するのは難しいですが、今後大きな災害が起きた時、助け合い(共助)の気持ちが自然と生まれ、人の関係性や街のあり方が変わっていくのではないかと考えています。だからこそ、いざという時にうまく繋がり合える仕組みをあらかじめ作っておくことが大切だと思っています。

ロコ: 具体的にはどのような仕組みづくりを進められているのですか?

辺見さん: 2016年から、自治会の協力を得て「黄色いタスキ」による安否確認を提案してきました。災害時に無事を知らせるタスキを玄関先に掲げる仕組みで、ネットが使えない非常時でも一目で状況がわかるような工夫です。

ロコ: 近所同士で気にかけるきっかけになりますね。

辺見さん: そうですね。単なる安否確認だけでなく、「お隣さんは大丈夫かな?」とお互いを気にかける意識を育むことも大きな目的です。地縁が薄い街だからこそ、日常から見守り合うきっかけを作っていくことが重要だと感じています。

ロコ: 単なる防災の仕組みではなく、お互いを思いやれる関係を築いていくことが大切ですね。素晴らしいです。

センスから入り、「伝える努力」で繋ぐ次世代への想い 

ロコ: これから自治会に関わるかもしれない若い世代の住民のみなさんに伝えたいことはありますか?

辺見さん: 「自治会」と聞くと拒否反応を示す人が少なくありませんが、原因の一つは「見た目のかっこ悪さ」だと思うんです。防犯パトロールのベストとか、正直着たくないですよね(笑) だから美しが丘連合自治会では、濃紺のシンプルなジャンパーやきれいな水色のビブスを作ったんです。まずはビジュアルからかっこよくしていこうよ、と。まあ、そうは言ってもめちゃめちゃ限界はありますけど(笑)

ロコ: 見た目のセンスから入るのは素敵な工夫ですね! 次世代にはどんなことを期待されますか?

辺見さん: 若い人にはどんどん入ってもらってセンスやITのリテラシーを発揮してほしいですね。ただ一つ伝えたいのは、仕事の知見を活かすだけでなく「地域活動に関心がない人にも伝えて分かってもらう努力」を忘れないでほしいということです。めげずに色々な発信をして頑張ってもらいたい、それに尽きますね。

ロコ: 専門知識だけでなく「伝える努力」が大切というのは、地域ならではの深い言葉ですね。次世代への思いが詰まった素晴らしいお話を、ありがとうございました!

取材を終えて

今回、辺見さんのお話を伺い、「美しが丘連合自治会」が担う役割の大きさや、私たちが何気なく過ごしている日常が自治会の方々の活動によって支えられているのだということを、あらためて実感しました。

行政や商店街との強い連携から、持続可能な仕組みづくり、そして近所同士で互いを気にかける温かい街づくりまで、辺見さんが情熱を持って仲間とともに歩んでこられた軌跡が、深く心に伝わってくる取材でした。

特に「地域活動に関心がない人にも伝えて理解してもらう努力を忘れない」というお言葉は、立場は違えど、地域に関わる取り組みを行う私たちにとっても強く響くものでした。

ロコっちも、多くの人の目に留まる記事を発信するだけでなく、地域を支えている方々の想いをさまざまな角度から届けられるメディアでありたいと思います。