育児や生き方に悩んでいた状態から、カウンセリングによって自分らしく、幸せな生き方を見つけた経験を活かし、自身もカウンセラーとして活動している田中奈緒さん。カウンセリング(個人セッション)で何が変わるのか?奈緒さんの壮絶な経験も含め、お話を伺いました。
目次
お仕事の内容を教えてください
これからワクワクした人生を生きたい方に個人セッションを行っています。単純に目の前の問題を解決するだけでなく、自分らしい生き方を見つけるお手伝いをしています。
具体的には、今何か問題を抱えている方はもちろんですが、育児をして自信を失っている方、今の生き方にモヤモヤしている方、仕事や家庭のやるべきことに追われて人生の希望を見失っている方、などが対象です。
個人セッションはどういうプロセスで行われるのですか?
個人セッションでは、まず今のお悩みや、自分の生活で気になっていることを話していただきます。その内容をもとに私が質問をし、なぜその問題にとらわれているのかを一緒に探っていきます。その理由が分かった上で、自分はこれからどうしたいのかを一緒に考えていきます。
周りの人ではなく、自分自身が幸せになることが一番大事で、自分が幸せになれば家族や周りの人も自然と幸せになるのです。なので、まずクライアント様ご自身がどうやればもっと幸せを感じられるようになるのか、自分らしくワクワクした人生を送れるのか、ということを具体的にアドバイスさせていただきます。
具体的な例をおしえていただけますか?
私の場合は、朝の育児ってバタバタするものだ、と無意識に思っていたんです。お弁当も朝ごはんも栄養バランスのいいものを作らなきゃ、幼稚園バスに送りに行くのにお化粧してきれいな服を着なきゃ、とかやることがたくさんあって。
でも、なぜそれをやらなきゃと思っているのか、数ある作業の中で特に何がストレスなのか、というのをカウンセリングで引き出してもらった結果、朝の生活が変わり、気持ちが楽になりました。
どう変わったのですか?
朝食に関しては、子どもはコーンフレークと牛乳だけでいい、と言うのですが、私自身がそんな栄養価の低い食事じゃだめだと頑なに信じていて。本当は私としてもコーンフレークと牛乳だけ出すような簡単な朝食だと楽でよかったのですが、そんな朝食にすると母親失格のような気持ちもしていて。でも、コーンフレークと牛乳だけでもいいと思えるようになったので準備が楽に。
また、身支度が面倒なのにきちんとしようとしているのは自分の意思ではなく、他のママの目線を気にしているだけ、ということに気付き、たまにはすっぴんで送り出してもいいやと思えるようになりました。
そういった細かいことを1こずつ知っていくことが重要で、何にとらわれているかに気付けば、ほとんどの問題は解決することができるのです。
人生の中で嫌いなタイプの人、が何度もやってくることがあります。でも、嫌な人を嫌だと感じるのは、自分に原因があるのです。その人の何が嫌で、自分が拒否している部分が何かに気づいたら、嫌ではなくなったり、その人が目の前からいなくなったりするのです。
1回のセッションでも変わりますか?
1回のセッションは90分なのですが、それでも劇的に変わります。
例えば、家事や育児の分担が原因で、ご主人との関係に悩んでいた方は、今までのように「なんでやってくれないの」とご主人を責めるのではなく、ご主人に自分の気持ちを話し、具体的にどうして欲しいかをお願いすることで、夫婦関係が180度変わりました。
また、お子さんのある行動が、顔を見たくないくらい嫌になった、という方は、その理由が、自分が子どもの頃に同じことをしていて、その時の親の反応が悲しかった、本当はこうしてほしかったんだ、というのに気づきました。それにより、子供の行動が気にならなくだけでなく、すごくかわいく感じられるようになりました。
こういったピンポイントの相談もOKですが、問題が解決しても定期的にセッションを受けていただくことで、より人生をハッピーにしていくことができます。病院ではなく、エステのようなイメージですね(笑)
私自身も、先生のセッションを今でも月1回120分受けています。自分にとって大きな問題だと自分だけでは解決できなかったりしますし、客観的に質問していただくことによってさらに大きな気づきが得られます。もう3年程、月1回のペースで先生のセッションを受けていますが、未だに受けるたびに背負っていた荷物が軽くなり、どんどん人生が楽しくなっています。
なぜカウンセラーになろうと思ったのですか?
私自身が育児を始めて完全に行き詰ったとき、同じようにカウンセリングを受けて変われたことが一番大きいです。子どもを産んだことを後悔し、すべてから逃げ出したいと思っていた私でしたが、カウンセリングを受けることにより、周りの状況には関係なく、どんな時でも自分は幸せになれることに気づきました。育児が辛い、という状況は、私自身の中で起こっていたことでした。それなので、自分自身の中で何が起こっているのかが分かり、本当に自分が望むことを選択していけば、誰でもどんな状況でも幸せになれるとわかったので、それを他の人にも伝えたいと思ったからです。
私自身、それまで常識や親の考えに縛られて苦しんでいたんですよね。自分の限界を超えて、人の期待に応えようと頑張りがちだったんですけど、それは誰のためにもならなくて、自分が楽しくなるから、人のことも幸せにできるということに気付いたことで、人生が変わりました。
私のカウンセリングの先生が、私以上に私の可能性を信じてくれて、「あなたは最高に輝ける」と言ってくれたことに感銘を受けました。私も同じように、苦しんでいる方の可能性をその人以上に信じ、人生をもっとワクワクしたものにするお手伝いができたらいいな、と思ったからです。
カウンセリングを受ける前の奈緒さん。今よりも老けて見える!
差し支えなければ、ご自身の経験を教えてください。
私の両親はともに教員で、ほめて育ててくれて、すごく恵まれていたと思いますし、両親のことを尊敬していました。でも、だからこそ親の期待に応えなきゃ、という気持ちが強くて、暗にプレッシャーをずっと感じていました。例えば、「言われないのに勉強してすごいね」と言われると、「常に自主的に勉強しなきゃ」というように。
3歳の時に「医者になりたい」と軽い気持ちで言ったのですが、その後、事あるごとに親が「医者になりたいんだよね」と言っていました。その結果、自分自身が本当になりたいかどうかわからないけど、だんだんと医者になる以外の道が見えなくなってしまいました。
初めての挫折は高校の時で、身だしなみにも勉強にもすごく厳しい校風が全く合いませんでした。でも、勉強を帰宅後4時間やれ、と言われれば苦しくてもやっていました。自分が恵まれているので不満はいっちゃいけないと思いこみ、やらない選択肢に目を向けられませんでした。
それで、在学中に親からも学校からも逃げるようにイギリスに交換留学に行きました。帰国後は、地元の複数の高校でボランティア団体を作って、地元のメディアにもよく取り上げられていました。それと、留学経験のおかげで、希望の医学部に一般推薦で入学しました。
行動力もありますし、すごいですね!
でも、医学部に入った瞬間に、まわりとのレベルが違い過ぎて。授業がわからなすぎてフリーズしてしまいました。それに、私は人と向き合たいだけであって、病気とは向き合いたくないということにも気づきました。
医学部は本当に閉鎖的で、医者になるためにはレールに乗らないといけないんですね。授業では生きた勉強はあまりなく、先生も事務的だし、みんな決められたことを淡々とこなしている。それは単に個性のない、「医者」というものを作り出す作業のような感じがしました。
大学2年の終わりに2ヶ月半地下室でずっと解剖実習をやりました。それも、何のためにやっているのか全くわからなくて、それが終わった途端うつ状態になり、起き上がれなくなってしまいました。大学に行きたいと思っても指一本動かない。3時間目に何とか行ったら過呼吸になり、ペンが握れない。休学をしたいと親に話したら、心配して大学まで来てくれて、その時に初めて自分が危険な状態であることに気づきました。
家族共通の趣味はキャンプ。特に富士山のふもとがお気に入り
それまで気づかなかったんですか?
自分では、学校に行くことができないはずがないと信じていました。努力してできないことがあるはずがない、と。それを自分ができないと理解するのにその後2年くらいかかりました。今思えば、「できなかった」のではなく、ただ「合わなかった」だけなんですけどね。
3年生の1学期に休学を申し出たら、先生(医者)にあっさり断られて「おまえにはできる」と言われました。それでも自殺願望もあり、本当に苦しかったので、他の病院を回りました。10軒くらい回ったのですが、うつ病じゃないと言われました。暗い感じではなく、淡々と話していたからですかね。
今との時代の違いも感じますね。
結局、先生に言われるがまま試験だけ受けて、単位をとってなんとか4年生に進級しましたが、その後休学しました。
大学休学中、もらったばかりのバイクで、関東から北海道まで旅行をしました。その時は免許とりたてでしたし、無謀な感じだったので「どっかで死ねるだろう」と思い、出発しました。結局死ねずに戻ってきたのですが、途中の岩手県で、当時札幌に住んでいた現在の夫と出会いました。2年の休学ののち、悔いを残しつつ退学し、すぐに結婚しました。
そんなこんなで結婚生活がスタートしたものの、当時夫は午前3時、4時に帰る生活でした。夫がかまってくれないのがつらくて、ペット不可のアパートだったにも関わらず、勝手に犬を飼い始めました。夫とはかなりもめたのですが、犬OKのアパートに引っ越すことにしました。
しかし、何が功を奏するのかわかりませんね。犬を飼ったことでうつ状態が回復しました。これまで薬を飲んで寝てばっかりだったのが、散歩にでかけるようになり、気持ちも前向きになりました。
長女妊娠前は夫婦でツーリングが趣味だった
「友達」は偉大ですね!
犬のために引っ越した先のアパートは子どもが多く、かつ近所づきあいが結構ありました。夫は犬ではなく、子どもが欲しかったこともわかり、また夫の面倒見がすごくよかったので、子どもがいる生活のイメージわいて、子どもを産みたいという理由で抗うつ剤を辞めることができました。ありがたいことにまもなく子どもを授かったのですが、そこでハッピーエンドにはならなかったのです。
妊娠している時、出産まではイメージできたのですが、子供を育てるイメージはわかなくて、新生児を抱っこした瞬間に「どうしよう!?」と思いました。
産後2週間母で帰ったら、その途端に母乳が止まってしまいました。私の緊張感が赤ちゃんにも伝わったんでしょうね。なかなか寝ないし、泣くことが多く、抱っこしていないといけない時間がすごく長くて辛かったです。夫は相変わらず帰りが遅く、週末も家を空けることもある上、家にいる時は赤ちゃんにデレデレで、私の話もまともに聞いてもらえる感じではありませんでした。そんな日が続くうちに、新生児に当たり散らすようになってしまいました。
最初の新生児のワンオペ育児はつらいですね。。。
自分は母親失格だと思っていました。その出来ない感の埋め合わせで、ネットで情報を集め、自然育児にはまりました。布オムツを使い、ベビーカーではなく兵児帯で抱っこなどしていたのですが、「それもいいよね」ではなくて、「そうあるべき」という考えになってしまい、全然楽しくありませんでした。医学部の時と違って、絶対に逃げられないし、やめられない。子供を産んだこと後悔していました。
生後7日目の長女と犬
でも、お子さん3人いますよね?
2人目は夫にどうしても、と頼まれ、長女が3歳の時に生みました。その時はアメリカにいたのですが、上の子のことで外に出る機会も多く、社会とのつながりもあり、意外と2人の方が1対1より楽だな、と思いました。
3人目はもっと楽になるかも、と自分の意思で産んだのですが、やっぱり苦労しましたね(笑)
カウンセリングを受けたきっかけは何だったのですか?
アメリカから札幌に引っ越した時に、親子で通うスタイルの自由な幼稚園にしました。楽しかったけど、子供と1日一緒だったり、時間に縛られるのがきつかったです。遅く行ってもいいし、週3でもよかったのに、幼稚園に行かないっていう決断ができませんでした。
その時、幼稚園にたまたま遊びにきていたカウンセラーさんに「大丈夫じゃないよね?」と声をかけられて、少し話をしたら「このまま頑張っても親子共に不幸になるよ」言われ、それがきっかけでカウンセリングを受け始めました。
その時、自分の好きな食べ物や、楽しいことを聞かれたのですが全く応えられず、自分を見失っていることに気付きました。
その後、たまプラーザに引っ越したのですが、その時はこだわりが強くて幼稚園に入れられず、誰も知り合いがいなくてまた追い込まれていきました。札幌のカウンセラーの方にとにかく子どもを預けることをアドバイスされ、紆余曲折ありましたが、2人の子どもを保育園に預けてから、ようやく余裕ができました。
その後もカウンセリングを受けたり、保健士さんに相談に乗ってもらったり、家事代行を頼んだり、色々な方の力を借りたおかげで、3人目も無事生まれ、最悪な状態からは脱却し、3人目は育児を楽しめるレベルになりました。
一番育児が辛かった頃
そこから自身もカウンセラーを目指したのですか?
そうですね。まず、4年くらい前に通信講座で資格をとりました。本当はカナダ人のリズ・ブルボーというスピリチュアル系のカウンセラーさんの講座が受けたかったのですが、子どもがいると時間的に厳しかったので断念しました。でも、代わりにその講座の卒業生で、宮崎に住んでいる方のブログを発見し、しばらくメルマガを読んだりしていました。
当時は、母親として自信がなさすぎて、幼稚園の他のママがキラキラして見えて、幼稚園に足を運ぶのがすごくしんどいと感じていました。そこで、例の宮崎に住んでいたカウンセラーさんのセッションをスカイプで受けるようになりました。そこからだんだん、幼稚園が楽しくなり、役員もするようになりました。相手がどうこうではなく、ただの思い込みだったのだな、と。
それで最近、そのカウンセラーの先生が行っている養成講座を受講して、本格的にカウンセラーとしての活動を始めました。ついつい頑張ってしまうお母さんへ、そんなに頑張らなくていいよ、というか、頑張らない方が色々とうまく行くよ、ということを伝えていきたいですね。
将来実現したいことはありますか?
妊婦さんや、子供を産まない選択をしようとしている人に、育児ってこういうやり方もあるんだよ、という希望を見せられるような活動をしたいですね。
子育ては1人でするものではないので、いろいろな人が子育てにフェアに関われるコミュニティを作りたいです。助けたり、手伝ったりってもらうのではなく、対等な関係の。
子供のために、ではなく、自分のために何かやりたいと思って集まれる、子供はおまけ(笑)。そう言う感じの集まりを作っていきたいです。